狼族の里 (Page 2)
「中には出さねぇ、安心しろ。衛生面によくない。お前が合意するまでやらぬ」
「…かっこつけ、やがっ、てぇ」
「すまない、これは狼族の掟(おきて)なのだ。自らのものとすると決めたものに、しなければならぬ行為なのだ」
「獣らしい…な…っ」
彼は激しく腰を振り続けては、俺の全身に口づけを繰り返す。
口が触れるだけのキスは、彼らの毛のせいで少しくすぐったい。
「っはぁ、はぁ、ぁっ」
「…ああ、そろそろ、出そうだ。抜くぞ」
ずる、と音を立てて大きなものが俺の穴から抜き出される。
「頼みがある」
「…なんだよ」
「…せめて、俺と口づけをしてくれぬか」
俺は無言になった。敵国の王子のメスとなる、その理由が俺にはわからなかったからだ。
けれど、この男の目がとても寂しそうで、けれど本当にまっすぐに俺を見ていた。
「……」
俺は自分の体を持ち上げて、こいつにキスをしてやった。
「ああ、ありが、とう…」
彼の大きなものから白いものがどろどろとこぼれ出る。
彼の表情は、とても幸せそうだった。そんな顔を見て、俺もつい表情がほころぶ。
「…なんで俺までうれしくなってるんだよ」
俺はぽつりと呟き、そのまま倒れこむ。それもそうだ、男との行為なんてしたこともない。
ウェルはそんなリクの様子を見て、そっと大きな手で彼の頭をなでる。
眠った彼の表情を、彼はずっと、穏やかな表情で見つめていたという。
Fin.
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