金の花、降る、ふる (Page 2)

隣に座った男にあごを持ち上げられ、唇をふさがれた。

「ん…、んんっ」

金木犀の香りが口いっぱいに広がったかと思うと、温かな液体が流れ込んできた。
なんの抵抗もできずに液体を飲み下すと、かあっとした熱さが喉(のど)から胃へと落ちていくのがわかった。

突然のことに目を閉じることも忘れて、あまりにも近すぎる男の顔を見つめる。伏せた目の下にまつ毛の淡い影ができていた。その影がゆっくりと離れると、琥珀色の瞳が現れた。

「どうですか? 初めてのお酒の味は」

男の言葉とともに金木犀の香りが強くなる。
お酒に酔っているのか、花の香りに酔ってしまったのか…、どちらなのかはわからないけれど、体が熱くて頭はぼおっとしていた。
口角がきれいに上がった男の口元を黙って見ていると、

「それでは、もうひと口」

と、もう一度口移しにお酒を飲まされた。
お酒が少しずつ流し込まれるたびに、男の舌が口の内側をこすった。あごに触れている指や唇は冷たいのに、舌は温かい。

「…ん、…ふ、…」

口の端からうまく飲み込めなかったお酒がこぼれた。濡(ぬ)れた感触があごから首へと伝う。

「…これはもったいない」
「あっ、…あっ!」

男の甘い息が首筋にかかる。こぼれたお酒をなぞるように吸われて、体が思わず跳ねた。
男の唇を胸に感じたけれど、頭がぼんやりして押し返すこともできない。平らな胸に何度も口づけられ、舌で弄(いじ)られているうちに、そこからじんじんとした刺激が生まれていることを感じた。

「秋生くんのここ。何も知らないというきれいな色をしていますよ」
「はぁ、は…、あ…」

音を立てて吸われ、胸の先がきゅっとなる感覚に声が出た。その形をなぞるように舌で舐(な)められるたびに、生まれた刺激が体の奥へと集まっていく。
胸元からせり上がってくる金木犀の香りにおぼれてしまいそうだ。

「あっ、やっ…!」
「きみの声は晴海に似ている」

冷たい手にわき腹を撫(な)でられる。
ひんやりとした空気を肌に感じて、服が脱がされていることにようやく気がついた。

「猫のような目、小さな鼻と口…。顔も似ている。けれど…」

男の口づけが胸からお腹、腰へと浴びせられる。そのたびに金木犀の香りが広がり、まるで僕の体で花が咲いているような感覚に襲われていた。

「晴海の肌は雪のように白かった。きみの肌はうっすらと黄味を帯びた温かな色。きれいな色をしている。桜色の乳首も、ここも…」
「やぁ…っ!」

冷たい手に内ももを撫でられ、そのまま大きく広げさせられた。そのあいだに男は顔を埋(うず)めたかと思うと、僕のモノを口に含んだ。

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