いざないの合図はいつでも甘い (Page 3)
「や、やぁ…、は、じ…め…」
甘い響きに、優希の体から顔を上げる。いつもは涼しげな優希の切れ長の目はうるみ、目のふちが赤い。
優希は男だけど、美人、という言葉がぴったりだ。柳のような美しさだと言ってた上司もいたくらいだ。
細くて、たおやかで、いつも静かにほほ笑んでいる優希。
でも、今、俺だけに見せてくれる優希の顔は違う。
「朔…、もっと、きて…」
汗がにじむ腕を首に回されて、引き寄せられる。太ももをこすりつけられ、心臓がどくどくした。
俺は吸い込まれるように優希の顔を見る。わずかに開かれた口に誘われて、優希に口づける。
角度を変えるたびに次第に深くなる口づけに俺は夢中になった。優希の舌も俺に応えるように絡み、お互いの全部を奪いつくすみたいに舐め合った。
「ふ…。朔、がっついてる…」
「なんていうか…ひさしぶりすぎて…」
唇を離すと優希が笑った。
優希と俺の体のあいだで互いの昂(たか)ぶりが当たる。その硬さで、どんなに求めていたのかを改めて気づかされる。
「朔は…、今日の商談の、ことで…、ずっと、頭がいっぱい…で、…」
荒い息で切れ切れに言葉をつなぐ優希に、俺は頷く。
「仕事と、俺と…、どっちが大事、とか…」
危うく言いそうになった、と弱々しく言われて、俺は優希の背中に手を回し、ぎゅっとした。今言うなんて、反則だ…。
「言って…ください」
「なんで、突然、丁寧…」
言い終える前に優希の唇を塞いだ。
*****
優希の体を裏返し、双丘に口づける。びくりと揺れる優希の腰を掴み、手の温度で緩ませた場所を探った。皮膚と粘膜の境目がどこかなんてわからないけれど、舌先を丸めて出し入れする。
優希の高く短い声が耳をつく。
「ああっ、やっ、…やぁ」
小刻みに揺れる腰に優希の興奮が手に取るようにわかった。その興奮は俺にも伝わってきて、煽(あお)られる。
ぬるくなったそこを指で存分に慣らしてから、俺は優希の中を穿(うが)つ。すんなりと俺の欲望は飲み込まれ、動かすたびに締め付けられて新たな刺激が波のように俺を包んだ。
その気持ちよさに酔いそうになるのをこらえて、声を上げる優希の首筋に唇を落とす。
強く吸い上げると、うっすらと桃色に染まった肌に赤い花が開いた。いくつも、いくつも…。
その美しさに目の前がちかちかして、もっと深く優希を求めた。
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