いざないの合図はいつでも甘い (Page 4)
「あっ、やっ…、やだ、…う、ん…」
「いきそう?」
滴をしきりにこぼし、勢いを増している優希自身の状態を見れば聞かなくてもわかる。それでも聞いてしまうのは…優希の熱にあてられているからだ。
小さく頷く優希の頭にキスをする。頬を伝う涙がきれいだなんて柄にもなく思う。
「もう少し…、我慢して」
「お、れは…、ずっと…、我慢して、たよ…。朔に…触りた、かった…」
「優希…」
「抱きしめ、…て、ほし…」
優希の言葉に俺は欲情のまま腰を進める。興奮が下肢(かし)に伝わると、優希が気持ちよさげな声を上げた。
「もうちょっとだけ…、このままでいたい…」
優希の中が気持ちよくて、体をほどくことがさびしい。つながったまま背中から抱きしめる。
ばか、と重なった優希の手は熱く湿っていて、そのぬくもりに胸の奥がしめつけられた。
明日も、明後日も、優希と抱き合えるけど。
今日は、もうちょっとだけ。
夜よ、終わらないで。
そんなセンチメンタルな言葉を呑み込み、優希の頬にキスをした。
Fin.
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