陰間茶屋のお話 (Page 4)
おれの尻からする通和散の濡れた音と、新右衛門様の腰とおれの尻がぶつかる音でさらにおれは高まっていく。
「新右衛門様、もう、また、…ああぁっ!!」
びくびくっ、と身体が震える。
中にいる新右衛門様の竿を、思い切り締め付けてしまうけれど、自分ではどうしようもなく、おれの竿は白濁を吐き続けた。
「ああ…いい、いいな、その余裕のない感じが、たまらねえ。本気で感じている様子がなあ!慣れきった陰間じゃ味わえねえ悦楽よ…!」
力任せに、奥まで竿を突き通すような腰の動きと、つぶやきの声の色っぽい低音に、おれは極めたばかりの身体を震わせた。
奥の奥、新右衛門様の熱が注ぎ込まれるような感覚に、おれは全身を幸せに包まれていた。
「…お許しなんし、新右衛門様…。わっちばかりが極めて…」
「ああ、構わん。俺も楽しんだ。お前は極めたときの締め付けと、溶けそうな表情がいいな」
ぐったりと横たわるおれの頬を撫でて、新右衛門様は立ち上がり、ふすまの向こうに置かれた酒の膳へ行った。
杯に酒を満たして、
「これでお前も、他の客を取れるようになるな!」
そう言ってから、杯をあおる。
その言葉を聞いて、おれは目の前が暗くなった。
「…ほかの、客…?」
「ああ。お前はいい身体をしている。床上手なら、歌や踊りが下手でも、買ってくれる旦那衆はいくらでもいるぞ」
血の気が引く、とはこういうときのことをいうのだろう。
入れあげていたのは、おれだけだったんだ。
「し…、新右衛門様はもう、わっちを買ってくれんせんの?」
「そうだな。店に出すまで、あと何度かだ」
それなら、その、何度かで。
「それなら…、あと何度かまぐわえる間に、新右衛門様をわっちのとりこにするつもりで挑みんす」
「ははっ、こりゃあ、楽しみだ!」
身体を起こして、襦袢(じゅばん)をはおり、新右衛門様の隣へと座る。
「わっちは、新右衛門様が手元へ置いておきたくなるような、上等な陰間になりんしょう」
わっちは、十五夜。
「新右衛門様…、今宵はこれでしまいでありんす?」
「なんだ、もっと欲しいのか」
「えぇ。朝までずっとわっちの中へ、埋めておいておくんなんし」
主さんがわっちを望むのなら、望まれるまま。
Fin.
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