今日は君の言うとおりに! (Page 2)
「あの…、ごめんなさいっ。誕生日のプレゼントは後でちゃんと渡す。ほんとにごめんっ」
俺は潔く頭を下げた。
明の誕生日を忘れていたことは事実で、その理由をごちゃごちゃ説明しても、それはただの言い訳だ。大切な人の、大切な日を忘れていたなんて…。
「気にするなよ。仁志が忙しいのはわかっていたから」
声からは怒っている様子は感じられない。まあ…、ちょっと呆(あき)れているのはわかったので俺はもう一度謝った。
「今日は…って、あとちょっとだけど…、明の言うとおりにする。だから、何でも言って?」
「何でもって…大げさだな」
「肩もみとか、洗濯とか…、何でも言って!」
男らしい、しっかりとした眉を下げて笑っていた明の目がきらりと光った…、気がした。
「…何でも?」
俺はぶんぶんと首を縦に振った。
*****
「風呂に入ってきて、服は着ないで」と明に言われて、セックスをするんだと思った。心の片隅で準備はしていたから丁寧に体を洗い、下半身にタオルを巻いて浴室を出た。
リボンを手にした明がまぶしそうに目を細めている。
裸を見られるのは慣れているけれど、あらたまって明るいところで見つめられると、どきどきした。
唇に軽くキスをされる。少しひやりとする明の唇が離れたとき、濡れた音が耳をついた。たったそれだけで、体の奥がうずいた気がした。
ハグは毎日しているけど、こんなふうに触れられるのは…2週間ぶりくらいだろうか。
「仁志の肌は白くてきれいだよ」
「あらたまって言われると恥ずかしいって…。日中は外にあんまり出ないからかな…」
「この色、仁志の肌によく似合うと思うよ」
明は手にしていたリボンを俺の目の前に掲げた。ケーキの箱にかけられていた深いローズ色のリボン。
「…ひゃっ!」
リボンの硬い生地を首に感じて、思わず変な声が出た。
「明、なに…」
「プレゼントは仁志で十分。うん、可愛い」
きれいな蝶々(ちょうちょう)結びが自分のあごの下から飛び出しているのが見える。
明の言葉の意味を問う間もなく唇をふさがれた。温かな舌に口の中をくまなく愛撫(あいぶ)され、体がどくどくと大きく脈打つのがわかる。
俺は夢中になって明の舌に応(こた)えた。明の息づかいに耳がじんじんする。
「もう、こんなになってる…」
バスタオルの上から下半身を撫(な)でられる。感じているのだとわかるそこを厚い指でなぞられて、思わず体が跳ねた。
「やっ…、だめだ…」
「今日は俺の言うとおりにしてくれるんだろう? いや、は聞かないよ」
明はテーブルに並べられたケーキの生クリームをすくい、胸やわき腹、おへそ…、と俺の体に落とす。
「…うん。甘くておいしい」
「あっ! あっ、あ、…」
胸の先の生クリームを舌でゆっくりとすくいとられ、柔らかな刺激に声がこぼれてしまう。
舌先が胸を何度も掠(かす)めた後、また生クリームを塗られた。胸の先を覆うように塗られて、硬くなり始めていたそこから刺激がぷつぷつと生まれた。
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