独占愛はノーカットでお送りします (Page 2)
「俺、お前が好きなんだよ!」
テレビ画面の中で、俺が主演女優の肩を掴んで愛を告白している。
息を呑む女優。
その唇を荒々しく奪い、画面の俺は女優をベッドに押し倒した。
「はぁ、んっ、はぁっ…」
テレビのスピーカーから聞こえる大げさな吐息と、濃厚なキスシーン。
女優のブラウスがはだけて、ブラジャーがチラ見えする。
うぅ…演技とはいえ、こんな場面を京さんに見せるなんて。
恐る恐る、京さんの様子を盗み見ると。
「…」
京さんは真顔でテレビを見つめていた。
いつもだったら、ニコニコと俺の演技をほめてくれるのに。
テレビ画面の二人はさらに盛り上がり、一糸纏わぬ姿でのセックスシーンに突入した。
「はぁ、あっ、あっ、んんっ!」
女優の喘ぎ声がリビングに響く。
このシーン、NG出しまくったし、何度も監督に演技指導されたし、本当に頑張ったから、称賛の言葉が欲しいところなんだけど…。
「…」
やっぱり京さんは無言だ。
俺はいたたまれなくなって、リモコンを手にするとテレビを消した。
「颯真君?」
静かになったリビングで、京さんが首を傾げて俺を見る。
「ごめんなさい、こんなシーンを見せて…。京さん、嫌だったよね?」
しゅんと項垂れる俺の頭を、京さんはゆっくりと撫でた。
「颯真君が気にすることはないよ。これも大切なお仕事だからね」
「だって、京さん、何も言わないから…」
俺が上目遣いで訴えると、京さんは気まずそうな顔をした。
「悪かったね。全部、僕のせいなんだ。颯真君は一生懸命演技をしているのに、相手の女優に嫉妬してしまう自分がいる」
「えっ、京さんが…?」
意外だった。
完璧な大人に見える京さんが、誰かに嫉妬するなんて。
「当然だよ。君はとても魅力的だ。最近は人気も出てきて、たくさんの女性に愛されている。僕はそんな颯真君を、独占したくて仕方ないんだ」
「京さん…」
初めて知った、京さんの気持ち。
びっくりしたけれど、正直、嬉しい。
身体をすり寄せてみると、ぎゅっと抱き締められた。
見上げると、熱っぽい視線が絡み合う。
「…っ」
互いに引かれ合うように、唇を重ねた。
「んっ、ふっ、ふぅっ…」
いつもの優しいキスとは違う、貪るような、激しい口付けを繰り返される。
唾液の混ざり合う音と、溢れる吐息。
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