後輩に脅されまして (Page 5)

経験のない気持ちよさに呆然とする俺に、小野原がぽつりと聞いた。

「…先輩、この体、まさか誰にも抱かれてません？」

「まさか？」

「まさか僕が初めてですか」

食い気味に聞かれて、おずおずとうなずいた。
小野原の盛大なため息が落ちる。
お悩み中申し訳ないが、このまま放置はやめてほしい。もっと刺激がほしいと体が悲鳴を上げている。

「小野原、ごめん。その、…やめないで」

このときの俺は、初めての快感に酔って、妄想と現実の境目をさまよっていたのだろう。
大きく開脚し、ぐいと後孔を開いて見せた。

「――はやく、ちょうだい」

小野原の視線が俺のそこに刺さる。ごくりと喉を鳴らし、俺に覆いかぶさった。

＊＊＊＊＊

すっかり柔らかくなっていた俺のそこは、きれいな顔には似合わない、硬く太い小野原のそれを何の問題もなく飲みこんだ。「ホントに初めて？」と小野原が顔をゆがませたが、妄想はカウントしないので、本当に初めてだ。

「やだ、きもち、の、とまらな…おのはらぁ…」

俺、感じすぎて死ぬんじゃないだろうか。

たまらず小野原に助けを求めて手を伸ばすと、小野原は熱っぽい目をすがめ、抱き寄せてくれた。ぐ、と奥へ熱が沈み込み、更なる快感に嬌声がほとばしる。小刻みにうがつ動きとあわせるように、何度も角度を変えて口づけられる。ぞくぞくと這い上がってくる何かを抑えきれず、何度か前がはじけた。
ひくひくと体を震わせる俺を、小野原がじっと見おろしてくる。

「おの、はら？」

「写真、消しませんから、絶対…」

強気なことを言うくせに、こちらを伺うような態度の小野原。

「…それはつまり、俺はずっと小野原の言うこと、聞けばいいの？」

俺の問いにちょっとふて腐れた顔をして、不意に律動を再開させる。

「ちょ、ん…ぁ、それ、ずる…、ふぁ」

文句を垂れる口をキスでふさがれ、酸欠でぼうっとするまで貪られて。唇が首筋に移り、長い指先が胸を弄ってくる。コツコツと奥をつく腰の動きに、体がベッドの上に押し上げられていく。
ヘッドボードに頭がぶつかる――そんな予感がしたが、乳首をこねていた手が腰へ滑り、ぐいと引かれて元の位置に戻った。

「ばらまかれたくなかったら…」

はぁ、という色っぽい吐息とともに、かすれた声が落ちる。続きは言葉にならなかった。またキスされて、激しい抜き差しに翻弄される俺には、聞き返す余裕はない。

ただ、なんとなく。

小野原の本当の願いが、わかったような気がして。

「…おのはらの、好きにして、いーよ」

首筋に顔をうずめる小野原の、柔らかな髪をそっと撫でた。