後輩に脅されまして (Page 6)
妄想のいいところは、体にあまり響かないところだと思い知った。
「やばい…死ぬ」
ぐったりとベッドに沈み込む俺の腰を、不埒(ふらち)な手が撫でさする。軽くつねってやると、恨めしそうな声がした。
「酷いです、先輩。いつもお世話になってるから、こっちは僕がサポートしようと」
「…労わりたいなら、くっつかないでくれるかな?」
素人ながら、昨晩から今朝にかけての回数は尋常でないとわかるだけに、自然と声は低くなった。多少悪いと思っているのか、小野原はベッドから出ていった。
「…。服、貸すから、着て」
こっそり見るのは好きだが、堂々と裸をさらされると目のやり場に困る。
「先輩ってホント、未使用だったんですね」
ウキウキとうれしそうな様子は、おもちゃを前にした子犬のようだ。
「僕、何でも付き合いますよ。写真映り、自分で言うのもなんですが、結構いいんです。あ、痛いの以外で」
「…なんの、話?」
「だからこれ」
その手には、俺のスマホ。
――ん?
「中の写真、全部消しておきますね」
「…は」
「後から全部、撮らせてあげます」
「…え」
「まあ、一人でスる余裕、この先ないと思いますけど」
にこり、と笑う小野原に、俺は枕を投げつける。
夕方までふて寝した。
Fin.
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