例え過去がなくとも (Page 4)
そう聞くと忍はこくりと頷く。
割れ物を扱うように優しくしようと思い、脚を持ち上げ、ゆっくりとナカに俺のペニスを入れていく。
久しぶりのナカは狭くて、でも相変わらず温かかった。
「ふ…んんっ」
忍は少し顔をしかめるが、それでも拒絶する様子はなかった。
ゆっくりと入れていき、奥にコツンと当たった時。
「あぁッ!」
と忍の体が跳ねた。
それに気を良くした俺はぐりっと奥を抉るようにすると忍が喘ぐ。
「あッ…だめっ、そこばっかだめぇっ!気持ちいいからぁッ!」
忍は体をびくびく跳ねさせながら喘いでいる。
俺は「あぁそうか」と思った。
例え記憶がなくとも忍は忍で、変わらず俺を愛してくれて、こうやって体を委ねてくれる。
それがどれだけ奇跡的なことか、俺は理解していなかったのかもしれない。
「忍…!忍!」
奥を突くスピードがどんどん速くなっていく。
俺は腰をふるのが止まらない。
「あ…ッ!陽!陽ッ…、すきっ…すきだからッ…!だから僕を愛して…ッ!」
そんな忍の声を聞きながら俺は達してしまった。
「んあぁぁぁぁッ!」
忍もナカイキしてしまったらしく、体を弓なりにしならせる。
俺もそのまま忍に向かって倒れこむようにして、彼に抱き着いた。
「愛してる」
忍にそういうと、忍は頬を少し赤くして笑う。
その顔が愛おしく、また抱きしめてしまう。
「昔のこと覚えてなくてもいいの?」
忍の言葉に俺はゆっくりと頷く。
「過去なんて関係なく、俺は忍が好きだから」
変な風にこじらせて忍から距離を置いたときもあったが、その間も俺も忍もお互いのことを考えていた。
記憶がなくても忍は忍で何も変わらない。
忍に愛してといわせてしまった自分が少し恥ずかしく感じる。
愛する人は記憶がないだけで何も変わっていないというのに。
「これからまた思い出を作っていこう、一緒に」
そういうと忍は嬉しそうに笑って頷いた。
Fin.
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