夢と現~脳イキセックス~ (Page 2)
「ハビ、おぬしは共に生きたいか?」
「僕のような凡愚(ぼんぐ)にはきっと耐えられませんよ」
ハビは肩を竦め答える。放っておけば確実な終わりが訪れ、移植し続ける生。常人なら耐えられないだろう。
「では、採取といこうか」
妖しく笑い、ハビのネクタイに指をかけ、しゅるり、と解いた。
「わしはおぬしを気に入っておるよ」
くすり、と淫靡(いんび)な笑みを浮かべ、その手はハビの下腹部へ手が伸びる。スラックスの上から愛おしそうに撫で、唇を重ね合った。
「先生…」
切なくも陰りが浮かぶ表情で、ハビはメルを見つめた。その視線を受け、メルはより一層淫靡な笑みを浮かべ、カチャカチャとベルトを緩めハビのスラックスを下着ごと下ろす。
そそり立つ陰茎を愛おしそうに撫で、メルは満足そうに笑う。
肉体の交換で永遠とも言える命を手に入れたメルだが、サイボーグ化や電脳世界への移行は随分と確立されている。だがメルにとって、それではダメだったのだ。
肉を持つ身体で、患者の体温や、熱さを感じなければ其れは『医療の真似事』でしかない。
じゅぷじゅぷと音を立てられながら口淫され、息が乱れるハビはそっとメルの亜麻色の髪に触れる。
「私は、あなたに…助けられたから」
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業火。
嫌な匂いが充満する、空の下。
「ふん、ひどい有様じゃな」メルは独りごちた。
救護申請が届き、気怠い中足を向けたのは未だに降り立ったことがない惑星だったからだ。
「研究材料でも見つかればと思えば、この炎じゃ何も残っておらんじゃろうな…」
赤と青のコントラストに、目を細めた。
ーーーざりっ
音に驚き振り向くと、そこには小さな人影。
「だず、げで…」
ゴポゴポと喉を鳴らしながら助けを求めるそれを、抱き抱え、自身の宇宙船へと走る。
それが、ハビとの出会いだった。
奇跡的に命を取り留めた彼はぽつりぽつりと過去を語る。
曰く、実験動物であったと。
曰く、実験動物であったが為に、炎から免れたと。
ほんの、気まぐれ。メルはそれならばその命を預けてみろと提案した。
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