Alraune~繋と自慰と~ (Page 2)
「まったく明さんは人が悪い」
「あはは、君以外は顔真っ青だったね。君は仕事熱心だ」
大学病院の彼にあてがわれた一室へ足を運ぶと、丁度コーヒーを淹れようとしていたところだった。
「闇慈(あんじ)君も飲むだろう?」
「ええ、頂きます」
コポコポと小気味よい音と外からざあざあと相変わらず耳障りな雨の音が不協和音を生み、心に薄暗いものを生み出す。
カップを受け取り俺は窓辺にもたれ、その飄々(ひょうひょう)とした堀宮明という男を眺めた。
長い睫に縁どられた瞳は物憂げに伏せられ、目元にわずかに刻まれた皺が確かに自分より年上だったと再認識させる。
「君、元気だよねぇ。これから捜査かい?」
「そうですね。少し休憩したら行きますよ」
「警部補殿は大変だ」
からからと笑い、椅子に深くもたれる姿は少年の様で、今の真っ白な白衣と先ほどまでの青緑の術着との対比が眩しい程だった。
「…ノンキャリア組だからと風当たりが凄いんですよ」
「28歳だっけか。まぁ、現場で足使ってキャリア積んだ人間からすると悔しいんだろうなぁ。努力も才能だがココも才能だ」
彼はにこりとウインクし頭を指さす。
「ねぇ闇慈、君がこうしてここに来てくれたってことはそういう事だろう?」
そのネクタイをしゅるりと指で緩め舌なめずりをし、ゆっくりと近づき絡められた舌はほろ苦かった。
「あは、いい…ね」
彼は白い頬を上気させながら淫靡に笑う。後孔を押し広げられながら、その陰茎を扱きあげられながらも彼は余裕のある笑みを浮かべ、俺に教え込むかのように囁く。
「明さん、前より感度上がりました?」
「ふふ、しばらく…、ん、君の事受け入れてない、からね…」
「可愛いですね」
デスクに半身を乗せその白い尻を突き上げるように体を預けた彼の耳元へ口づける。
ん、と小さく喘ぎ手の中にある彼の陰茎にぎゅうと血液が一気に集まるのを感じる。
「耳が弱いですね」
「君の声が好きなんだよ」
ざあざあと降り続ける雨音がノイズの様に、そして心の内をモザイク画の様に滲ませていく。
「闇慈、はや、く…君のくれないかな?」
その白い尻がゆらゆらと物欲しげに揺れるのがいやらしく。
俺は自身を擦り付ける。
「あっ…あつい…それ、はやく…」
「欲しいんですか?」
「早く、中に…『セイ』を感じさせて…」
それは。
性なのか。
生なのか。
命を扱う彼は、とても繊細だ。
飄々とした風貌や態度からは想像もつかないほどに、その心の内は繊細で。
雨が窓にぶつかりその景色を滲ませるかのようにいつも彼の心は揺らいでいる
「あっ———」
貫き、景色が揺れる。
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