僕が一番気持ちがいいのは、尊敬する上司に褒められたとき

・作

入社三年目の加藤は尊敬する上司の飯島に褒めてもらうため、仕事を頑張っていた。契約が取れたことを褒められ、寿司屋にまで連れて行ってもらって、気持ちよくなった加藤はついついお酒を飲み過ぎてしまう。飯島の家に連れて行ってもらい休ませてもらうと、口移しで水を飲ませてくれ…。そのまま甘々の展開に。

 入社三年目、先輩方でも無理だった契約が取れた。もちろん僕一人の力ではないけれど、尊敬する上司である、飯島リーダーに褒めてもらいたくて頑張って取った契約だった。

 残業してそろそろ帰ろうかというとき、飯島さんにお祝いに、飲みに行こうって言われたときはとても嬉しかった。

「こんな高いところの寿司屋に連れてきてもらってすみません…」

「そんな怯えなくても今日は加藤くんのお祝いなんだから。ちゃんと奢ってあげるよ」

 回らない寿司屋は初めて来た。しかも値段も書いていなくて注文できずにいると、飯島さんの方から、これがおすすめだからと注文してくれた。

「ありがとうございます…」

 緊張してしまって情けない。せっかく尊敬する人と一緒に食事しているというのに。

「ほら、力抜いて。あの契約を取ってきた加藤くんはどこいったんだい?」

 カウンターで隣に座っているので、彼は僕の方へ向くと手を伸ばしてきた。身体を硬直させて身構えていると頭をポンと軽くたたかれた。思いがけないことに力が抜けると、そのまま優しく髪を撫でられる。

「よく頑張ったね」

 優しく微笑んで触れられ撫でられて。頭がぼうっとしてしまった。尊敬する人に褒められたことがこんなにも嬉しくて心地いいなんて。

 僕は頬を赤らめて小さくありがとうございます、とつぶやく。でも、少しだけ照れくさくて日本酒を飲んでごまかした。

*****

「うう…、本当にすみません…」

 飯島さんに褒められたことが嬉しくて、思わず飲み過ぎてしまった。寿司屋で出された日本酒は美味しくてついつい何杯もおかわりしてしまった。

「いや、いいよ。私も飲ませ過ぎてしまったね。私の家で悪いけど休んでいきなさい」

 飯島さんに支えられながら、彼の家へ連れてきてもらった。仕事ではいいところ見せられたのに、その後にこんなだらしないところを見せてしまうなんて。

「すみません…」

 ずっと迷惑はかけられないので、早く回復したいのに謝ることしかできない自分が情けない。ソファに寝かせてくれたまま身体が動かない。

「謝らなくて大丈夫。私も一人暮らしだし。明日は会社休みだから、予定がなかったら泊まっていったらいい」

「でもそこまでは…」

 迷惑はかけられない。でもまだ身体は動かせる気がしないので、もう少しだけと自分の身体に言い聞かせた。

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