浮気疑惑のある恋人を嫌いになりきれなくて (Page 2)

想像通り、僕を見下ろす遥斗の姿があった。驚いて、あ然としているのか彼の顔に表情はなかった。

「オレが、我慢できなかったんだ。雅紀は、何も悪くない」

「アンタには何も聞いてない。オレに隠れて何やってるの? 答えてよ、雅紀くん」

まるで存在してないように誠二の言い訳をピシャリと止めると、遥斗は同じ質問で僕の答えを催促した。

「…誠二としようとしてた、セックス」

「そう」

僕の答えを聞くと、遥斗は次に誠二の方へ視線を向けて言った。

「誠二くん。悪いけど、帰ってくれない? 雅紀くんと2人で話したいから」

遥斗の言動から何を察したのか、誠二は無言のまま潔く僕の上から離れた。

「…また、連絡する」

最後にそれだけ言い残すと、誠二はこの場を後にした。ガチャンとドアの閉まる音と足音が遠くで聞こえた。

「何がしたいわけ?」

遥斗が一歩一歩近付いてくる。

そして、

「オレに飽きて、手近な誠二くんに手を出そうとしたわけ?」

決め付けるような問いかけと共に、遥斗が半身を起こすオレの上に跨った。

視野の大部分が今度は遥斗で占められる。

だが、映る表情は依然として乏しくて感情が読み取れず、僕は視線を反らしてしまった。

「そう」

しかし、僕の反射的な行動をどう解釈したのか、遥斗の顔に表情が浮かぶ。

口角を少し上げただけの、虚無的な笑みだった。

「今まで浮気されたことないし、浮気しようと思わなかったから、ショックだわ」

「…浮ついた気持ちはあった、誠二を誘ったのも事実だ。だが、」

“お前も僕に隠れて女と同じことしてたんじゃないのか?”

感情に任せて言いそうになるも寸前で喉に力を入れて堪えたが、細やかな反抗は見せた。

「僕は謝らない」

「…雅紀くんの気持ちはよくわかった。だったら、」

返された言葉に何かを考える前に、僕は遥斗の唇で呼吸を奪われた。

酸素を取り入れたくて唇を離そうとすると、後頭部を大きな掌でがっちりと固定されて叶わなかった。

開けたままだった唇に濡れた舌がするりと忍び入る。

そのまま僕の舌を絡めると、輪郭をなぞるようにゆっくり這わせた。

それだけでなく、頬裏や歯茎や口蓋にも舌先を這わせ、忍ばせた体の一部で僕の口内をくまなく味わった。

その度に、チュクチュクっと唾液同士が混ざり合う音が静かに聴覚を刺激した。

「んっ、っ、…ふっ」

粘膜を舌で触れるのはむずがゆくて、でも熱を持ってキュンと局部や全身をうずかせる。

暴れるのに満足したのか、遥斗は唇を放すと同時に舌も離して呼吸を解放した。

「浮気しようなんて二度と思えなくしてあげる」

そう言った声は湿りを色濃く含んでいて、全身をゾクゾクした物が駆け抜けた。

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