浮気疑惑のある恋人を嫌いになりきれなくて (Page 4)

「…今、謝れば、さっき見た光景は全部、水に流すよっ」

薄くまぶたを開けて遥斗を見るも、かすみや涙で視界が悪くて表情を上手く認識できなかった。

「雅紀くんっ」

亀頭部で肉壁の奥を撫でるように押し付け、謝罪の言葉を催促する。

少し腰を引かれれば亀頭と陰茎の境目が熱を持つ蜜壁をかすり、今日1番の快楽を与えた。

「ねえっ」

挑発混じりの笑みで返事を求める遥斗から視線を反らし、沈黙を貫いた。

「まだそんな態度取るんだ」

さらに腰を引いて先端まで抜き出すと、肌を打ち付けて奥を突上げた。

「ひぃ、あっ…あぁっ」

しかし今感じているのは、この上ない男としての悦び。

「あっ、あっ…!」

肉壁が愛しい男の形を思い出したらしく、もう痛みは完全に消えていた。

前は遥斗の手を汚すまで精を蓄え、後ろはギュウギュウと挿入物に絡んで。

前も後ろも遥斗が与える快楽の虜だった。

「っ、はぁっ…あぁっ」

下腹部を細かく動かし、1番気持ちいい部分を亀頭や陰茎で擦る。

そんな焦らしも悦びでしかなかった。

「雅紀くんの一言で、もっと気持ちよくしてあげる、イカせてもあげる」

痛みに勝る濃厚なうずきと、全身を溶かしそうな熱に頭がどうにかなりそうだった。

僕も悪いけど、僕だけが悪いわけではない。

しかし…

「…ゴメン、」

恥や外聞以上に欲しかった。

理性や全身を溶かすような熱が、遥斗が与えてくれる快楽が。

「よくできました」

“アンタに浮気は無理”

(悔しいが、確かにそうかもしれない)

肌のぶつかる音や品のない水音を遠くで聞きながら、僕は遥斗からの官能に心身を任せた。

*****

セックスを終えた後、僕は遥斗に経緯を話した。

知らない女と歩いていたこと、約束を急にキャンセルされて寂しかったこと。

それで、切なさと寂しさを誠二で埋めようとしたこと。

「女ってコレ?」

差し出されたスマートフォンの画面を見て、僕は首を縦に振った。

「これ、双子の姉ちゃん。彼氏の誕生日プレゼント選ぶの手伝えって、連れ出されてさ」

迷惑な話、最後にポツリと付け加えた。

「そうだったか…ゴメン」

「…オレもゴメン、この間は急に約束破って」

その言葉と共に、僕の体は遥斗の胸へ抱き寄せられた。

「浮気するなら、最初から付き合わないよ」

胸の内が聞けたからか、久々に素肌で彼の温もりを味わえたからか。

「オレは雅紀くん一筋だから」

誠二では埋められなかった切なさや寂しさ、不安が僕の中から消えていく。

僕は確かに遥斗に愛されている。

それを実感できた瞬間だった。

Fin.

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