愛してくれたらいい (Page 3)

「んっ、もっと触って」

「湊も触って」

内腿を中心へ向かい撫でると、颯は鼻から甘い吐息を溢した。

お返しというように颯は背筋から尾てい骨へ指先を滑らせ、湊は身体を震わせた。

颯は体を入れ替え、湊をベッドに押し倒した。

じゅうっと音を立て体に印をつけていく。

身体に痕を散りばめられている湊は息を噛み殺しながら、颯の身体にキス痕をつけたら結婚が破綻するだろうかと暗い思考に飲まれそうになっていた。

次に抱かれるだろう彼女しか見えない場所につけるのだ。

ドキドキと胸を高鳴らせる彼女から熱が引いていく様子が目に浮かぶ。

「湊なに考えてんの?」

「ぅ、ぁン」

「集中しろよ、最後なんだろ」

「さいご…」

最後にはしたくない。湊は唇を引き結ぶ。

そうしないとずっと一緒にいるっていっただろう!と怒鳴ってしまいそうだった。

例え愛し合っていてもずっと一緒にいることは難しいことだと、とっくの昔に気づいていた。

気づきながらも、溺れていたかった。

颯の指の腹が、湊の後孔を撫で、思考を引き戻される。

「ぁっ…」

後孔の周囲をくるくると撫でていく。

期待で腰が揺れ、自然と見せつけるよう股が大きく開く。

焦らすように動いていた指先は、何故か遠ざかって行った。

「入れてっ、入れろよ!」

「入れない」

期待で膨らんでいた湊は、断られ悲痛な声を上げた。

「入れたらもう俺のこと諦めるだろ」

「結婚、するんだろっ、諦めさせろよ」

湊は息を詰まらせながら口にした。希望を見せないでくれ。顔が歪む。

「俺が本当に一番愛しているのは湊だけだ。俺のこと愛してくれ、ずっと愛していてくれ」

信じられないと湊は目を見開く。

「最低だ、最悪だ…」

なら結婚するなよ。喉まで出かかった言葉を殺す。

選ばれたのは彼女のほうのはずだろ。

だというのに心は湊を縛るというのか。

溢れる涙を拭う指先は優しく、湊の瞳からはとめどなく流れ落ちた。

「ならっ、今日は俺が」

颯の尻を撫で、指を割れ目に滑らせる。

「ダメだ」

やんわりと手を掴まれた。

掴まれた手は二人の勃起した陰茎を優しく包む。

「初めて擦り合ったのっていつだったっけ。キスしてたらいつの間にか勃起してて、湊は病気になったって泣いたよね」

「…ふ、いつの話だよ」

「いつかは思い出せなくても、あの時の湊がどの女の子よりも可愛かった」

「俺は本気で死ぬかと思ってたのに…。明日彼女を抱くんだろ」

「さあどうだろう。あいつ、俺を顔で選んだんだ。自分の顔と釣り合う顔を。俺じゃなくてもよかったと思う」

「なんだそれ、酷っ」

颯は左手で二人の陰茎を上下に擦りながら、右手の指は先走りを纏わせ湊の後孔を押した。

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