愛してくれたらいい (Page 4)
「ぁ、入れないんじゃ」
「指だけな。湊も指でしてくれ」
「う、んん」
すんなりと入った指に、颯はなにも言わなかった。
解してきた湊はそれだけでイキそうになる。
イってしまったらこの時が終わると思い、必死に快感を逃そうと身じろいだ。
「ぅ、ぁっ」
「湊ぉ…ぃっ、ぁぁ」
「颯っ、ぁぅぅ、颯ぇ」
中の指を動かすと、前を擦る手が疎かになり、前後からの刺激にかくかくと腰を揺らしていた颯が突っ伏した。
散らばった髪が頬を撫で熱い吐息を耳元に吹きかけられた湊は、かすれた声で何度も名前を口にする。
颯は答えるように近くにある赤い耳を甘噛みし、名前を囁いた。
あっ、あっと湊の口から母音と飲み込み切れなかった唾液が零れる。
粘質的な液体が混ざりあい、卑猥な音がどちらの体から発しているのかわからない。
二人分の体重を乗せたベッドがひどく軋んでいたが、二人の耳には入っていなかった。
湊は陰茎を刺激していた手を離し横向きになると颯を抱きしめた。
示し合わせたように颯も抱きしめ返した。
流れる汗を舐めとり、中に侵入させた指はうごめき肉壁を擦り広げていく。
決して前立腺に触れないのは、このひと時が終わってしまうのが惜しいから。
二人の間にある陰茎からはとろとろと先走りが流れシーツを汚していく。
主張する胸飾りに爪を立てられた湊は、颯の脚に脚を絡め太腿で陰嚢を擦った。
「ぁぁー、ぃぐぅ」
「ぅ、ぁ、ぁぁ、いこう、いきたい、はやてぇ」
上擦った声でイキたいと呟く湊。
颯はぐりりと前立腺を押し上げと、湊は全身を震わせ、ううっと声を漏らした。
颯の前立腺を刺激したくて指を動かしたくても、全身を巡る快感に力が入らない。
「はやてぇ、ぁっ!、ごめ!、ごめん」
「ふっぁ、あやまんな」
前立腺をノックされた湊は、目の前に火花が散った。
快感に思考を浸食される。力の入らない体では、颯を気持ちよくさせられない。
湊はぐすりと鼻を鳴らし嗚咽を漏らした。
「泣くなよぉ」
「う、ひっく、ぅぅぁ」
颯は体を密着させた。
触れ合った所から溶けてしまいそうに熱い。
熱い皮膚に包まれた二人の陰茎から、ぶしゅりと白濁が噴き出した。
呼吸を整えた二人は笑い合い、どちらともなく「愛してる」と呟いた。
Fin.
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