いつでもどこでも愛してね (Page 3)
「やっぱり冷めちゃった」
あれから五度は果てを見させられた。
気づけば時刻は昼を過ぎていて、朝食は昼食へと変わってしまった。
むすりと唇を尖らせながらサンドイッチを齧る夏目に、雪路は眉を下げて微笑む。
「せっかく用意してくれたのにごめんね。でも、やっぱり夏目のごはんは冷めても美味しいよ」
そして雪路もサンドイッチをぱくりと食むとさらに笑みを深めた。
「ん。隠し味が効いてる」
「隠し味?」
「愛情」
「調子のいいこと言いやがって…」
それでもたしかに、雪路は美味しそうに食事を進めてくれるし、キッチンの掃除もしてくれたから、まぁいいかと思った。
「実はさ」
「ん?」
「夏目がごはん作ってる姿じゃなくて、食事をする姿にも興奮するんだよね」
「…お前は俺がなにをしても興奮するんじゃないの?」
「そうかも。わりと常に夏目のこと抱きたいって思って、わりと常に我慢してる。でも食事の準備中だけは我慢しきれなくなっちゃう」
「…別に、それ以外も我慢しなくていいよ」
夏目はぼそりと呟いた。
実質いつでもどこでも襲っていいと宣言するようなそれに、雪路はぱちりと瞬くと、頬を朱に染め破顔した。
「本気にしちゃうよ?」
「雪路がきちんと仕事して締め切りに追われてないときに限るけど!」
夏目がそう言うなり、雪路はエンジンがかかったように食事を素早く平らげ、席を立った。
「担当が来る前に今の原稿終わらせる。そうしたら、明日は丸一日夏目を堪能させてくれるんだよね?」
下心が凄まじいな、とちょっぴり引きながらもこくりと頷けば、雪路は執筆室に駆け込んだ。
あの様子だと本当に担当が来る前に仕事をすべて片づけてしまうんじゃないだろうか。
(明日は丸一日、雪路に翻弄されることになりそうだな…)
一体どんなことを要求され、どれだけ快楽に溺れさせられるのか。
想像するだけで、ちょっぴりぞっとして、とてつもなくどきどきとした。
とりあえず今日中にあらゆる家事を済ませておこうと決意しつつ、夏目も期待に胸を膨らませるのだった。
Fin.
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