駆け引きの情事に愛があるのか確かめるまで (Page 5)
少し頭が冷静になっていき、完全に主導権を握られていたことに気が付いた。でもそんなことなど、どうでもよくなるくらい、彼とするのは気持ちがよすぎた。
返事をせず戸惑いの表情を向けていると、頭を再び撫でくれた。
「君はまだ若い。私とのことなんて人生の数ある中の一つにすぎない」
「あの…」
お互い身体の関係だけのつもりだったはずなのに、彼の言葉はそれだけではない気がした。
「良い子だ。お風呂に入って綺麗にしてから帰りなさい」
「はい…」
俺は起き上がると、浴室へと向かった。シャワーを浴びながら、先ほどの情事を反芻した。
「もしかして専務は…」
俺のことが好きなのかもしれない。愛しているのかもしれない。でも俺が身体の関係だけを匂わしていたから。
ああ…確かめなくては。
風呂から濡れた身体のまま出てきた。すぐに風呂から出てきた俺にびっくりして、バスタオルを持ってきて拭いてくれる。
「もう一度、あなたとセックスしたい」
この情事に愛があるのかわかるまで。
Fin.
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