運命のアルファの面影を追いかけて (Page 3)
『…痛かったらすぐに言え』
少しの沈黙の後に手中から淫らな肉塊がスッと離れ、1人分の体重がなくなり体が一気に軽くなると脚を左右に限界まで広げられた。
M字開脚でピシッと張り詰めた筋肉を緩めるような熱杭が、愛液の滴っているだろう秘所に当てられた。
瞬時に入口を把握すると、奏也はゆっくりと下腹部を前に突き出して少しずつオレの中へ入ってくる。
「…ぁぁっ」
壁に肉を擦り付けられる感触に、自分のとは思えない甘ったるい声が漏れ出た。
内側の筋肉が弛緩していく感触、溶けるような摩擦がオレをうっとりするような熱で満たしていく。
「痛くない…すごく、気持ちいい」
『オレも、優に絡み付かれてすごく、気持ちいい』
奏也も自分と同じ快感を得ている、しかも自分とつながることで。
そう理解すると、快感とはまた違う心地よさで胸が一杯になった。
そんな感情に同調したのか、無意識に下半身へ力を入れていたらしい。
『締め付けるな…理性が、持たない』
男としての、アルファとしての欲望を満たしたくて仕方ない。
余裕のない切羽詰まった濡れた奏也の声には、そんな熱情が見え隠れしていた。
だが、
「だったら動いてくれてかまわない」
理性に反して沸き出す本能を満たせるのは、彼の番になったオレだけ。
奏也を受け入れて独占したい。
そんな、オメガ性の本能を満たしたいのはオレも同じだった。
『痛い思いはさせたくなかったが…すまない』
一言謝罪すると奏也は、最大に膨張している部分を収めるより先に動き出した。
「ひっ…あぁっ」
結合部が焼けるような感覚に、背中を浮かせて下腹部を少し突き出した。
準備は不十分だったが、濡れていて滑りは良好らしく痛みはなかった。
しかし、発情期故の過剰な高揚だけが無痛の理由ではなかった。
『ぴったり、絡んでくる』
幾度も重ねた行為の中で、体は愛しい男の形を記憶したらしい。
オレの肉が奏也の肉に馴染み、密着してほどよく収縮するまで時間はかからなかった。
下半身がジンジンと痺れるように熱くなった。
「はっ、あっ…」
心地よい鮮明な異物感と共に、丈夫な下生えが尻の割れ目を撫でた。
『でも、熱くて狭くて気持ちいいな…優の奥は』
吐息を濃密に含む声での囁きで、奏也が最奥まで侵入してきたんだと理解した。
今日1番の異物感に多少の息苦しさを覚えたが、それは苦痛ではなかった。
好物を好きなだけ食べた後のように、酷く心地よかった。
満腹感に似た圧迫感を堪能していると、奏也の鈴口が気紛れに前立腺をかすめた。
「あっ、あっ、あっ」
奏也の下半身が刻む律動に合わせて、体を揺らしながら声を上げた。
しっとり汗が浮かぶ肌や、天井と垂直であろう己の中心部の熱棒はもちろん。
「あっ…あぁぁっ」
グチュグチュと水音を奏でながら奏也と擦れ合う部分が、熱くて熱くて堪らなかった。
前立腺を突き上げられる度、甘美な灼熱地獄に落とされた気分だった。
濃密な官能を含んだ体温が、ジリジリと理性を焼き切っていく。
「あっ、あっ…あぁっ!」
声を上げ続け喉が枯れる寸前、チカチカしていた視界が一瞬だけ完全にかすんだ。
理性が官能的な熱で完全に焼き尽くされた。
それと同時に注意力も消え失せていた。
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