君のうなじに噛みつきたい (Page 4)
「ごめん…」
「…っ、噛まないって…言ったくせに…」
まだ涙目のユウトを抱きしめながら、頭を撫でてやる。
噛まないとは言ったけれど、あんな姿を見せられたら噛まずにはいられない。
「そうは言うけどさ…ユウトだって感じてたじゃん、噛んだとき」
「あれは…」
「…あれは、何?」
覗き込んで尋ねれば、わかりやすく顔を背けられた。
じわじわと赤くなっていく耳を見て、俺は思わず吹き出してしまった。
「なんで笑うんだよ…」
「ごめんごめん、かわいくて」
そう言うと、また不満げな顔。唇を尖らせてすねているくせに、耳と頬は相変わらず真っ赤に染まったまま。
そんな姿が愛しくて、俺はその顎を引き寄せてそっと口づけた。
お互いに唇を食むようなついばむような口づけのあと、今度はユウトが俺の頬を引き寄せてキスをする。
今度は舌先を絡めあって、吸い付くようなキス。
糸を引きながら唇を離せば、物足りなげな表情が浮かぶ。
「…うなじもいいけどさ、」
「うん…?」
「たまには、こうやって…アキの顔見て、チューしながら…したいんだけど」
ぷつん、と理性の糸が切れる音を、確かに聞いた。
予想外すぎる恋人の言葉に、俺はもう翻弄されっぱなしなわけで。
「…それは、反則」
いつの間にか俺の頬まで赤くなって、互いに顔を見合わせて笑った。
腕の中にいるユウトをもう一度思いきり抱き締めて、今度は俺からキスをする。
「じゃあ、もう1回」
「…言うと思った」
あきれたように、ユウトが笑う。
だけど、求められたら応えないわけにいかない。
だって俺は、君のことが大好きなんだから。
Fin.
最近のコメント