俺達の始まり (Page 3)
だってそうだろう。男同士の恋愛漫画だと思って読んでたら、いきなりすぎる展開で男同士のSEXシーンになったんだから。
マサヤはウーンと首を傾げている。
「オレ、今まで何冊かBL漫画読んだことあるんですけど、割と普通にこういうシーンあるんですよ」
「何で読んでるんだよ。え、お前こういうの好きなの?」
「好きってわけでもないですけど…男同士だからっていう抵抗はないですね!」
「へ…へぇ。って、まさかドラマではこんなシーン…」
流石にそれは無理だと引きつった顔でマサヤを見れば、ふふっと柔らかい表情で笑われた。
「ここまではないでしょう。地上波ですし」
「だよ…な」
ホッとしたのも束の間
「キスシーンはあると思いますけど」
さらりとそうマサヤが言い放ち、俺の手からバサッと漫画が落ちた。
これまでキスシーンをしたことは何度もある。相手が誰だろうと緊張も抵抗もなくこなしてきた…と思う。けれど、男相手は初めてだ。
俺が…こいつと、キス…?
おそるおそる顔を上げた目の前、マサヤが真っ直ぐ俺を見つめていた。
キメの細かい綺麗な肌に、長いまつ毛をたずさえた二重まぶたのクッキリとした瞳。
薄桃色の唇がゆるりと動いた。
「練習してみます?」
「れんしゅ…!?」
言われた意味を理解するより先に、マサヤの唇が俺の唇に触れた。柔らかい唇を強引に押し付けられても、頭がうまく働かない。
ややあって唇は離れ、目の前にいたのはさっきまでの子犬のような可愛らしいマサヤではなかった。例えるなら、羊の皮をかぶった狼のような…。
「あー…ハルトさんのその表情(かお)、ちょっと、ヤバイかも」
次の瞬間、ギラギラと獰猛な眼を光らせたマサヤに俺は押し倒されていた。
フローリングとラグの丁度間に倒されて、右半身だけにフローリングの冷たさが伝わってくる。
「マサ…ヤ?くん?」
何がどうなってるのかわからず彼の名を呼べば、いかにもな手つきで頬をスルリと撫でられた。
「ハルトさんとキスしたら、エッチな気分になっちゃいました」
そう言って、マサヤはまた俺の唇を塞いできた。
「ん…っ!?」
首を動かして抵抗を試みようとしたけど、顎を押さえつけられていて思うように動かない。呼吸が苦しくなってきて軽く口を開けたら、隙をつくみたいにスルリと舌を挿し込まれた。
マサヤの舌に口内を好き勝手に犯される。
舌を絡め取られ、上顎を撫でられ、歯列を辿られる。
それは、俺にとって初めての経験だった。
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