愛しい君のために (Page 5)

「やっ、あっ…はああん、んんっ、やっ」

 身体が逃げるたびに楓に引き寄せられ、パチュパチュと奥を責められる。

「だめ、もう…もっ…やん、あうっ」

 気持ちよさに身体が言うこと聞かず、襲ってくる快楽から逃げるようにベッドをつま先で蹴る。

 すると楓の腕が背中に回り、逃げる身体を押さえつけるように俺を抱きしめた。

「あっ、あう、ひあぁ」

 抱きしめられるせいで逃げることができず、波打つ快楽に思考までが乱れる。

「ああっ、あっ…んんっ、も、もう…あああっ」

「ミヤビ」

「やだ、こわ、こわ…んんっ」

 キスで口をふさがれ、涙でぼやける視界を閉ざす。

 その間も腰の動きは止まってくれず、舌を吸われるのとほぼ同時に俺は絶頂を迎えた。

「あぅ、んん──ッ」

 なのに、楓の動きが止まってくれずに意識が遠くなる。

 ガクガクとする身体に力は入らず、身体を抱きしめられているせいで逃げられない。

 キスをしたままの唇は離れてくれず、口の中の唾液をいくら飲み込んでも洪水のようにあふれて止まらない。

「んんっ、んんあっ」

 昼からこんなに、滅茶苦茶にされたら仕事に支障が出てしまう。

 というより意識が飛んで眠ってしまう。

 それなのに俺の意思とは関係なく、楓は自分の欲望を俺の中に吐き出した。

「あぁ、はぁんっ」

 唇が離れると、腰を引かれてこぼさないように中を注がれる。

 そのときに初めて、ゴムをしてもらってないことに気づいた。

 中にドクドクと出される愛液に俺の意識はどんどん遠のく。

「…ミヤビ」

「ん」

 ちゅっ…と音をたてながら唇がふさがる。

「愛している、ミヤビ」

「…ん、俺も」

「ははっ、ありがとう。今は、ゆっくり休んで」

「ん…」

「おやすみ」

 その声に俺はゆっくりとまぶたを閉じた。

 だけど忘れないうちに言っておかないといけないことがある。

「楓…」

「どうした?」

「おじい様には、言ってあるから、な。俺と、お前の、こ、と…」

「え」

「おやすみ…」

 ずっと寝不足だったせいで、無抵抗のまま深い眠りにつく。

 もしかしたら楓は、俺が寝不足なことを知っていて激しく抱いてくれたのかもしれない。

 そう思ったら愛おしさが増し、彼の優しさに安心して眠ることができた。

 そして、言い残された楓が羞恥心に襲われていたことを知ったのは、すっきり目覚めた夕方のことだったのは、また別の話。

Fin.

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