計画の愛 (Page 4)
「きみって、セックスが好きなの、意外だよね」
俺は思わず喫煙所の中をチラチラッと見回してしまった。
「こんな昼間からその話題はいかがかと……」
「いやあ、ごめんごめん。昨日のきみ、随分と情熱的だったからさ。僕にクスリも盛るしさ」
俺は大分短くなった煙草をもみ消しながら言った。
「まあ、そうですね。好きですよ」
意気地なしだとは思ったけど、焦ることはないと俺は自分に言い聞かせて、喫煙所の扉を開いた。
「なるほどね。僕も好きだよ」
「えっ」と声を出す前に、藤本さんは言葉を続けた。
「さあ、今日も宜しく頼むよ。中村くん」
藤本さんの薄い唇が、また何かを企てているように弧を描いていた。
Fin.
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