穢れなく美しい理由 (Page 5)
僕を『汚したい』とセナは言った。
何度も何度も行為中に。
でも僕は汚れない。
彼がそう思っているうちは絶対に。
「ってか最初が強姦っておかしいでしょ。あーあ、僕のハジメテがぁ」
シャワーを浴びながら鏡を見つめると、想像通りの光景が目に入る。
「はぁ…、これじゃ仕事は当分おやすみかぁ」
彼に残された無数の赤いアトは、鮮やかに肌を彩っていた。
「ふふっ」
笑ってしまうくらいにたくさん。
目が覚めるとセナは力尽きたように寝ていた。アトだけ見てもわかるように散々、僕を抱いて疲れたのだろう。
お腹が痛くて起きたら、僕の中に挿入したままだったし。
すぐにトイレに駆け込みたかったのに、僕の中に挿入したままで寝ていたから危機一髪だった。
そんなことを思い出して、苦笑を浮かべる。
「まあ、あんなに中出しされたらお腹も壊れるよねぇ…んっ」
シャワーヘッドをお尻にあてながら洗浄する。
こんな風に、中まで念入りに洗う日が来るなんて思わなかった。
「はぁっ…、んっ」
はしたない自分の姿が鏡に映って嫌気がさす。
いつ抱かれるかわからないのだから、シャワーを浴びるたびにこうして洗うことにもなるのだろう。
「もうこんなのヤなんだけ…って、ふふっ」
憂鬱な気分になる行為。
だけど同時に無数の赤いアトが視界に入って、くしゃりと笑った。
仕事に支障が出るキスマークは大嫌いだったのに、セナにつけられたってだけでこんなにも嬉しい。
このアトを見るたびに笑ってしまいそうだ。
「ねぇ、セナ。僕は自分でお尻に指入れて後処理も…、きっと準備もするし、お腹を壊してトイレにだって駆け込むんだよ?」
それを実際に見ても、セナは僕を『汚したい』と言い続けるのだろう。
セナが僕を好きでいるうちは、僕を汚すことなんてできないのに。
いつまでも、彼の目には僕が美しく映るだろうから。
「んっ…そんなの好きなら当たり前じゃん、ね」
クチクチと指を動かしながら中を洗浄する。
「ふっ、ん…んん…っ」
そのたびに身体が反応して、しっかり快楽を押し込まれたことがわかった。
こんな姿を見てもセナは『きれい』とか『美しい』とか言うんだろうな、と思う。
「ほんとバカな奴」
僕にだって、誰よりもなによりもセナがかっこよく見える。
好きになってからはずっと、どんなに人気なモデルよりも。
僕の目にはセナがこの世界で一番かっこよくて可愛くて、美しく見えているのだから。
Fin.
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