君が見つけたから (Page 2)
大学3年になった春、まったくさばけなかったサークル勧誘のビラの束を隣に置いて、ショウゴは机に突っ伏していた。煩わしそうに片手で外した眼鏡をビラの束の上に乗せた。
地質学サークル。それがショウゴの在籍しているサークルだった。昨年度までは2学年上の先輩が2人いた。その2人が卒業して、完全にショウゴ1人のサークルになってしまったのだ。いそいそとサークル勧誘に繰り出してみたものの、元来人と話すのが苦手なショウゴには苦行でしかなかった。早々に嫌気がさして、サークルで使用している教室に逃げ帰ってきていた。
ふわふわとカーテンを揺らして春風が舞い込んでくる。花と土の匂いがほんのりと混じっていて、ショウゴはスゥと大きく息を吸うと、誘われるように窓際まで移動した。窓に面した中庭には人気はなく、はるか先に少しだけ見える前庭には、ここからじゃマッチ棒ぐらいのサイズの人が群れをなしていた。
「静か…」
穏やかな気分で目を閉じてしばらく、風の匂いに心を委ねていたら、ふ、と目の前に影が降りてきて、ショウゴは目を開けた。
「え…?」
「わ、すげー美少年」
窓を挟んで目の前に立っていた男…それがユウセイだった。明るい茶髪が太陽光にさらされて裸眼のショウゴの目にチカチカとまばゆく映った。
「すげータイプだわ。その顔。抱かせてよ」
よくよく考えれば、ありえない要求だった。もしもショウゴがもっと、人との交流が得意であれば、ユウセイにされるがままに身体を許してしまうことはなかったかもしれない。1度の関係に気をよくしたユウセイが、その後何度も、求めてくることはなかったかもしれない。例えばサークルにショウゴ以外にも人がいれば、例えばショウゴに友達がいればきっと…。
けれどショウゴには何もなかった。自分とは正反対のタイプであるユウセイを拒否する勇気も。守ってくれる友達や仲間も。もしかしたらこの学校で、ショウゴを認識しているのはユウセイだけかもしれないと思ってしまうほどに、ショウゴには何もなかったのだ。
締め切った窓はしっかりとカーテンで覆われていて、羽虫1匹の侵入すら許さないような、異質な空気に満たされていた。そんな空間で、ショウゴはユウセイに身体を暴かれながら、己の中で沸き上がってくる快感に耐えるしかできなかった。
「あっあぁっだ…め、だってっ…ひぁ!」
執拗に胸を刺激していたユウセイの手が、下腹部に降りていくのに気付いて僅かな抵抗をみせるも、そんなショウゴを嘲笑うみたいに、ユウセイは彼の胸に口づけた。チュゥッ…とわざとらしく音をたてて先端に吸いつき、時折甘噛めば、それだけでショウゴの下半身は硬度を増した。
「はぁ…ほんと、エロいね。その顔、好きだわ」
「んっ…ぁ、ああ…」
顔を赤らめて快感を受け止めるショウゴを、ジトリとねめつけて、ユウセイは彼のボトムのベルトを外した。重力に逆らってズトンと落ちていったボトムはそのままに、ユウセイの手は迷いなくショウゴの下着に伸びた。下着の中に滑り込んだ手は、ショウゴの自身を掴むと前後に扱きだす。先走った蜜がヌチヌチとイヤラシイ鳴き声をあげていた。
トロリと雫になった先走りを指の腹で拭って、鈴口に塗りつけるように撫でれば、ビクビクっとショウゴは身体を震わせる。
「んぁっ、それ…やだっ」
「何?キモチイイ?」
ヌリヌリと指で撫でながら扱いてそう聞けば、涙目になってショウゴはブルブルと首を振る。ニヤリとユウセイは笑った。
「ああそっか。自分だけイクの、嫌だもんね」
達してしまわないように、ゆっくりとした動きでショウゴの雄を扱きながら、ユウセイは自分のボトムのベルトをカチャカチャと外した。
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