友だちでいようだなんて (Page 2)
オンライン同窓会で久しぶりに見た三渕は髪が少しだけ長くなっていた。見慣れない髪型にどきどきしたし、イケメンはどんな髪型も似合うんだと妙に感心した。
一週間前に恋人と別れたと明るく話す三渕に、どれくらい続いたのかとか、別れた理由とか、幾つものツッコミが入る。
三渕の恋愛話をどんな顔で聞けばよいのか、僕はいまだにわからない。だから、黙って画面を見ていることしかできなかった。
そのオンライン同窓会がお開きになった直後に、三渕からSNSにメッセージが入っていた。
『細川と会いたい。空いてる時間、ある?』
『今週の土曜日は大丈夫だよ。バイトが五時半に終わるから、その後でよければ』
OK、というスタンプがすぐに表れた。
僕のアパートの近くの公園で待ってる、話したいことがある、というメッセージを何度も読み返す。
話したいことって何だろう?
文字だけなのに、顔が熱くなるのを感じていた。
*****
三渕と約束した土曜日がやってきた。
バイトの時間が長く感じられて、何度も時計を見ていた。パートさんからは「今日はデート?」と冷やかされてしまった。
今日の僕は、そんなふうに見えるのだろうか…。
待ち合わせの公園に走っていく。三渕はベンチに座っていた。
「待たせちゃってごめん」
振り向いた三渕の顔は赤かった。外灯に照らされているからか? もしかして熱でもあるのか? 話したいことって…、もしかして一緒に病院に行ってほしいとか?
いろいろな考えが頭の中をよぎる。
「大丈夫。そんなに待ってないよ」
三渕が手をひらひらと振った。…その手は何かを持っていた。
何か、は缶だった。ビールの缶。
「三渕、もしかして飲んだ?」
「…ちょっとだけ、…ね」
口調が怪しい。
三渕が座る横にはコンビニかどこかの白い袋があった。中には開けられたビールが二缶と手つかずのビールが二缶、ほかにはチーズや珍味が入っていた。
「細川、一緒に飲もう」
マスクをしていてもアルコールの匂いがわかる。
「じゃあ、うちに行こう」
「細川の部屋? 行ってもいいんだ?」
僕は頷く。外で酔っぱらうのはあまりよろしくない。
僕より背の高い三渕を支えながら、何とかアパートに辿り着いた。
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