画面越しの彼よりも (Page 5)
「ハル。…お前、ずっと思ってたけど、物事を悲観的に考えすぎだ。なんでそんなに自信がない?お前は綺麗だし、えろくて可愛くて。俺はそんなお前に夢中なのに」
そう彼に告げられて、春樹はぽろぽろと涙を流した。
彼に夢中だと言われたことが、今は何より嬉くて。
もしかしたら、だまされてるかも…なんて思いを無理矢理押し込んで、それでもいいと彼にすがり付く。
「…じゃぁ、俺のこと離さないで!嫌なこと全部、考えられないようにして!」
春樹の台詞に彼が少し笑ってからキスをしてくれる。
まるで、大事なものに触れるような優しいキス。
そうして彼の手は、ゆっくりと春樹の体をベッドに押し倒した。
それから、春樹はもう何も考えられなくなっていた。
下半身はすっかり白濁まみれで、気持ちよさに腰に力なんて入らなくて。
声も少し枯れている。彼の指や舌で愛撫されるたびに、どうしても声が抑えきれないのだ。
「入れるぞ」
そうして、仰向けにされていた春樹の後ろに、彼の熱いものが当てられる。彼の指で散々解されたそこは、すっかり柔らかくなっていて。
けれど、そうして当てられた彼のものは、今まで見てきたよりも大きく思えて、春樹は体を硬くした。
「っ、怖い…。シマ…っ」
「ハル、お前の名前教えろ。呼んでやれば少しは安心するだろう?」
そう言って無理強いせずに、彼は頭を撫でてきて。春樹は自分の名前を彼に教える。
「春樹か、可愛いな。俺は嶋田直人。好きに呼んでくれていいから」
彼にそう告げられ、直人と口にしてみる春樹。すると彼が嬉しそうに微笑んで…。
春樹の力が抜けた瞬間目掛けて、彼が腰を進める。
「あ、っん、なおっ…」
想像よりもずっと苦しいそれは、春樹の中を押し入るようにして入ってくる。…痛みはなかった。
「大丈夫そうか?…っ、やっぱりきついけど、お前の中のここ、ちゃんと俺のこと全部飲み込んでるな」
そう言って、ゆっくりだが何度も腰を揺らす彼。
春樹は気持ちいいところに彼が擦れるたび、後ろを締め付けてしまい。
だんだんと上手く息ができなくなる。
「…っ、な、おと…ぁ、だめ、いくっ…」
そうして気持ちよさに体を震えさせて、春樹はそのままイッてしまった。
あれ以来春樹は、より過保護になった直人と一緒に過ごしている。
彼はすでに、他の男たちを精算し、それよりも春樹に嫌われないようにといつも優しく接してくれた。
いつしか春樹もまた、そんな生活に慣れていって。
彼に嫌われることにおびえて過ごしていたあの頃よりは、ずっと息がしやすくなっていた。
けれど、1つだけ困ったことがあって。
「今日はこれで、頼む」
彼に渡されたのは、ナース服のコスプレと、突起だらけのバイブ。
春樹がしているところを眺めて、彼は嬉しそうな顔をするのだ。
画面越しよりもずっと優しくて、暖かい彼の存在。
でも彼の変態っぷりだけは、画面越しよりも…。
Fin.
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