フェロモンと肉欲の使い方 (Page 2)
檜山さんの職業は警察官だ。しかもかなり偉い方の役職。独特の眼光の鋭さはこの状況でも持ち合わせていた。だから余計にその欲しがるさまが肉食獣のようで、淫靡で、そして滑稽に感じる。
こんなに色気を駄々漏れにするオメガだというのに、よく重役を勤めているものだ。
感服しながらも、そんなオメガを抱けることに優越感を感じていると、檜山さんは覆いかぶさっていた俺を逆にベッドに押し倒し、腹の上に乗った。
「もうずいぶん君のことを待っていたんだ。はやく俺の中に入ってきてくれ……、ンッ、」
ぐにゅうう……と熱い腸壁の中に誘われる。ぎゅうぎゅうと締め付けてきて痛いくらいだ。火照った内ももに腰を挟まれ動きにくかったが、彼が自分で腰を揺らしていて気持ちが良かったし、なによりその獣のような動きが扇情的だ。
「ああぁ……っ、っは、ん、んんう、っ、はあ、」
獣はくねりくねりと女のように腰を動かし、いいところに、コツ、と当たると眉を八の字にした。
水浸しの秘部が肌とぶつかるたび、ぺったぺったとヌメリのある水音を鳴らす。
「檜山さん、気持ちいいですか?」
性器だけでなく乳首まで勃起している彼にそう聞いた。コリ、と指先でその桃色の突起を潰すと、足りないと言わんばかりに俺の手を取って胸を揉ましてきた。檜山さんの胸筋はふっくらとしていて、包み込むように触ってやると腰の動きを止めて背中をS時に歪めた。
「ああ、きもちいいよ、最高だ、っ、だから、もっと……っ」
上体を密着させ、ねだられたキスに応える。びちゃ、じゅる、とおよそキスとは思えない激しい音をたてて、舌を食み、上顎を舌先で押し、歯列の裏をなぞった。檜山さんは感じると後ろをキュンと締め付けるのでとても分かりやすい。
本当は檜山さんと番になりたいとは思っているが、この淫乱な姿が見れなくなるのが名残惜しくて噛んでいない。
「はあ、ン、けいすけ、もっと俺のなか、奥に来てくれるか……っ」
それにたぶん、檜山さんがオメガなのに昇格していくのは、彼の捜査方法……おとり捜査のやり方が上手いからだろう。彼の出世を止めないためにも、このフェロモンを絶やすわけにはいかないのだ。
俺は檜山さんの尻を掴んで、どろどろに溶ける体内に肉棒と欲望を打ち込んだ。
腹の上で仰け反る男の顔は、特別に恍惚(こうこつ)の表情を浮かべていた──。
Fin.
最近のコメント