戻れない2人 (Page 3)
最初で最後のセックスの記憶。
封じ込めてきた恋情。
それらの欲求さえも呼び起こした。
「今でも好きなんだ、瑛人」
真剣味を帯びた告白に、瑛人の鼓動がドクンと大きく乱れてる。
「だから嫌だ、このまま離れるなんて」
職場ではそれなりに地位や立場がある。
結婚して子供も居て家庭も持っている。
あの時と違って社会人となった今は、多くの責任を抱えている。
(だからダメだ、ここで奏司を受け入れて倫理に反する行動をしたら)
心中でありっ丈の正論を並べて繋いでいる理性で、瑛人は溢れ出る欲望を懸命に抑え込んだ。
しかし…
「好きだ、好きなんだ瑛人」
熱情を含んだ告白の後、顔だけ後ろに向かされると唇を押し付けられた。
その柔らかさと弾力に、残っていた僅かな理性すら溶かされる。
(僕は…僕は…)
体から緊張も力も奪われた同時に、瑛人の唇が解放された。
思考が止まった先にあるのは、熱っぽくも真剣な眼差しを向ける奏司の顔。
「やり方が汚いじゃないか…!」
(僕はだって…)
「このまま離れるなんて嫌だ…!」
その感情をぶつけるように、瑛人は少しだけ顔を上げて再び唇を押し付ける。
(どうか、僕の過ちを見逃してくれ)
お互いに気持ちを確め合うと、2人はその場を後にした。
しかし、彼らは気付いていなかった。
1番見られていけない人物に、見られていたのを…。
人目を避けながらも連れ込まれたのは、このホテルの上階にある一室。
連れ込まれるなり、瑛人の体はセミダブルのベッドへと沈められる。
そして、奏司に馬乗りにされ、首を覆うネクタイを緩められた。
「最初からここに、連れてくる気、だったのか…?」
「ご想像にお任せします」
いつの間にかあらわにされた上半身に、奏司の唇が寄せられる。
チュッとリップノイズを鳴らしながら鎖骨、胸元とゆっくり降りる唇が到達したのは小さな突起物。
「はっ…はぁっ」
舌先をねっとり這わされたり。
上下唇で食まれたり。
舌と唇で固くなった乳頭を弄ばれれば、鮮烈な刺激が全身を巡った。
まるで、神経を直に触れられているような感覚だった。
(この感覚…)
じんわり巡る熱い痺れが、瑛人に甘美な満悦を与えた。
「今日一緒に来てた女の人、奥さんでしょ?」
「沙羅の、ことか?」
「あの人とセックスしてるの?」
「何だ、突然」
「だって、全然想像つかない。今はこうやってオレの下に居る瑛人が女の人を抱いて、しかも子供まで居るなんて」
「僕も男だから、女性の裸を見れば、興奮だってするさ」
「興奮ねえ…」
呟きと共に上半身から頭を離されると、下着ごとスラックスを下げられた。
そして、頭をもたげ始めている性器が奏司の掌で上下に擦られる。
しかしその動作は少し強いらしく、熱い痺れと共に鈍い痛みを瑛人に与えた。
「アッ…少しっ、痛いっ」
聞こえているのか否か、奏司の動きは止まらなかった。
それでも瑛人の肉は体温や硬度を一層含み、吐精を目指して変態を続けていた。
「何か妬けた。瑛人が女に興奮してる姿、想像したら」
すねているような感情の乏しい低い声に鼓膜を振動されると、皮膚を擦る手の動きがまた速まる。
限界まで硬く膨れ上がった陰茎が、包皮を破って完全に突き出した亀頭部が。
細かな動きの変化や感触を伝えて、瑛人を欲情させた。
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