俺は羊と暮らしていますが…! (Page 2)

くるくるパーマは羊だと言った。羊といっても現実の羊じゃない。俺が寝るときに数えていた羊の一匹だという。
俺が毎晩、相当な数の羊を数えていたので派遣されてきたそうだ。なるほど、巻角はそういうことか。尾骨の辺りにはふさっとした尻尾もある。

しばらくは俺の部屋にいるというので、まず名前を付けることにした。羊だから、ヨウ。

ヨウはくっきりとした目鼻立ちのイケメンだ。ちょっと厚めの唇は男らしい色気がある。
そして、料理が得意だ。俺が適当に買ってきた食材でおいしいものを作ってくれる。

アパートに帰ると料理ができるイケメン羊がいる。そして、そのイケメン羊は添い寝をしてくれるし、ときには抱き合ったりもしてくれる。
俺の不眠はいつのまにか解消されていた。

*****

ゴールデンウイークに入り、店は毎日混んだ。その上、人手が足りなくて7日間の連続勤務は体にかなりきた。

「お疲れさまでしたー…」
ようやく七日目が終わり、だるくて重い足をひきずるようにしてアパートに帰った。足がパンパンだ。

小さな声で「ただいま」と言いながら玄関のドアを開ける。目の前にヨウが立っていた。
「おかえり」
にこりと笑って細くなった目は羊にそっくりで、気持ちがふわふわする。

「七日間、頑張ったな」
「ありがとう…」
ヨウに優しく抱きしめられる。太陽の香りがする胸にもたれかかる。

「靴を脱いで」
ヨウに言われるままに足をもぞもぞさせて靴を脱ぐと、お姫様抱っこをされた。いきなり持ち上げられたので、思わずヨウの首にしがみつく。

さほど広くない部屋はおいしそうな食べ物の匂いでいっぱいだった。
ああ、この玉子の匂い…オムレツかな。唐揚げの匂いもする。俺の好物だ。お腹が、きゅる、と小さく鳴ってしまう。

でも、ヨウは食事が並べられているテーブルを通り過ぎる。
あれ? ここで下ろしてくれるんじゃないの?
目で、ヨウに問いかけた。ヨウは厚めの唇をむっと引き結び、無言で俺をベッドに下ろす。
頬に触れたシーツも掛布団もさらさらで心地よい。ヨウが洗ってくれたんだなと思っていると…、がばっとヨウがのしかかってきた。

「…え? え、ご飯…」
「俺にはメシよりお前だ」
ヨウが低くうなるように言った。

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