秘密の隣人 (Page 6)
「…弱ったなぁ。そんなふうに告白されたことないから、僕どうしていいか…」
「あんたはただ、俺に大切にされていればいいんです」
「大切…」
及川さんはしばらく黙ったまま、俺の腕の中で体を小さくしていた。
やがて冷えた細い肩が、小刻みに震えだした。
「及川さん…?」
「僕にはわからないよ…。いつもセックスして、飽きたら捨てられての繰り返しだったから…!」
強まった語尾に、寂しい過去を見た気がした。
この人はまだ、本当の愛情を知らないだけなんだ…。
「大丈夫ですよ。俺はあんたが今まで見てきた男とは違う」
「真純くん…っ…」
「だから、もう泣かないでください」
「僕泣いてなんか…っ…うぅっ…」
「及川さん、大切にします」
指先で涙を拭うと、そのまま唇に触れた。
「あんたとキスしたいです」
「なんでそんなこと聞くの?いつも普通にしてたじゃん…」
「及川さんの気持ちを大切にしたいんです」
「…真純くん…っ」
及川さんの目からボロボロと涙が溢れ出した。
「僕も、真純くんとキスがしたい」
俺は泣くのをグッと堪えて、深くやさしくうなずいた。
そしてギュっと抱きしめたまま、及川さんにキスをした。
「ンっ…ぁふ…っ…」
「…んっ…ん…」
何度も舌を絡めながら、角度を変えて求め合う。
涙の味が消えるまで唇を離さなかった。
Fin.
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