僕の双子の弟が最悪で困っています (Page 2)
樹が着ている薄い青のシャツのボタンをゆっくりと外す。樹は肌を出すことがあまり好きじゃないから、夏でも長袖を着ている。そのおかげなのか肌が白い。
樹も僕がしたように、僕のパジャマのボタンを外す。胸に当てられた樹の手のひらはひんやりとしている。
「桂ちゃん、体温高い」
「樹が低すぎなんだよ」
樹のはだけたシャツの中に手を滑り込ませて、脇腹にふれる。さらさらとした肌の感触が心地よくて何度も撫でると、樹が体を震わせた。
「くすぐったいよ」
そう言った樹に手を払いのけられそうになったので、僕は両手を樹の背中に回した。背中もやっぱりすべすべだ。
樹も同じように、僕の背中に手を回してきた。ひんやりとした手のひらを肩甲骨に感じて、なんだかどきどきした。
高校ぐらいまでは、こんなふうに樹と触りっこをしたこともあったっけ…。
樹とは双子だけれど、何から何までそっくりというわけではない。体形に関しては樹のほうがちょっとだけ大きい。
…といっても、世間では小柄なほうだ。165㎝に届かない身長に、標準より少ない体重。
僕は樹の胸に顔をすり寄せた。深く息を吸い込むと、シャツの襟から油っぽい匂いがした。
「樹…」
「うん?」
「もしかして、焼き肉食べた?」
「うん…」
それがまずかったのかな、という樹の声が響いた。
ばーか、と笑うと、
「くすぐったいよ」
と、樹に肩を押し返される。
「焼き肉味のキスとか…、いやかな…」
「うーん、あんまり気にしないけど。…でも、油でテカテカな唇は気になるかなあ」
樹の口調があまりにもしょんぼりとしていたので、僕は笑ってごまかそうとした。
額に、こつ、と小さな痛みが走る。
樹の顔が近い。
「桂ちゃんはいい匂いがする」
「風呂入ったから…、樹も使ってるボディソープだろ」
「そうかな。…桂ちゃんはいつもいい匂いがするんだよね」
毎日見てきた樹の、真剣な瞳に思わず息を呑む。
「桂ちゃんを抱いていい?」
…は?
…耳がおかしくなったのだろうか?
「え…と。もう1回言って?」
「抱いていい?」
僕の言葉にかぶせ気味に返ってきた樹の答えが、頭の中でぐるぐると回る。
樹に抱かれる?
答えられずにいると、がばっと唇を塞がれた。
かみつくようなキスだった。
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