曇ったメガネは預かります (Page 2)
「ふあっ! あああっ」
自重のせいで、いつもより深いところまで届くのだろう。
「はぐっ、…っ!」
僕にしがみつく力が強くなって、必死に快楽を逃がそうとしているのがわかる。
そうやってずっと、僕に掴まっていればいい。一時も離れないでほしい。
両腕では足りなくて、髪を総動員して忠臣を閉じ込める。
「あぁうっ、ん、あっ、あっ、あっ」
「気持ちいい?」
「っは、は…」
こくこくとうなずく忠臣にもっと喜んでほしくて、シャツを脱がせて胸をなめた。片方の手で性器に触れて、それから髪の先で肌をくすぐって。僕ができるすべてで、繋ぎ止めたい。
「…っ、っは…ひぅっ…ああ!」
がくん、とのけぞった首に痕を付けたくて、もう一度口づけた。
「うあぁっ、こら…」
とがめた声が案外柔らかくて、僕は調子に乗る。
「忠臣もずっと僕と居たいでしょ?」
裸眼の忠臣は、僕と目を合わせるために顔をぐいっと近づけてきた。
「当たり前だよ」
「…っ!」
ガラス玉みたいな瞳が透き通るのを、吐息が掛かる距離で目撃する。
「僕だって行きなくないのに、本当に行かなくなったら大変だよ」
忠臣は僕の髪の毛を梳きながら言った。
「ちゃんとしていたいんだ。優希がすごいせいで、こんな家に住んでるけど。僕も、頑張りたいんだ」
「わあ…!」
意気込んでる忠臣、すごくかわいい!
「それはかっこいいけどさ、でもさ…」
「寄り道もしてないし、誰とも話してない。昼も一人で食べてる」
「…え、大丈夫? いじめられたりしてないよね?」
「優希じゃないならどうでもいいだけ」
…心配だ。
「それに、もし僕が感染しても、優希なら治せるんじゃないかな」
「はっ…! それは合法的に忠臣の内臓に触っていいという」
「実際は保健所の指導に従うけれどね」
「…そうだよね」
「メガネ返してね」
「うん」
やはり僕は、忠臣に逆らうことなどできない。
Fin.
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