女性用の下着を試着した姿を恋人に見られた男の末路 (Page 2)
「ちょっと、何を勝手に買ってるんですか…!」
「だって、気になってるみたいだったし…勝負下着」
シレッと悪びれる様子もなく答える彼に、今度は言葉が上手く出せなかった。
「まあまあ、浮気防止だと思って次会う時に見せてやればいいじゃん」
「そんな他人事だと思って」
「ほら、お金持ってやるから、その代わりに話聞かせてって。おっと、そろそろ昼休憩も終わりだ。またな」
図ったのか偶然なのかグッドタイミングで昼休憩が終わり、次は違う講義の悠馬はこの場を颯爽(さっそう)と後にした。
「はあっ…仕方ないか」
そんな姿に言い返す戦意が喪失し、僕は諦めの溜め息を吐いた。
(まあ…開けて着なければいい話か)
*****
――数日後。
悠馬が勝手に注文してから数日後、僕の手元に実物が届いた。
「…」
女性向けのランジェリーショップらしい華やかながらも清楚(せいそ)な柄で包装された箱。
開けずに放置するつもりだったがやっぱり実物が気になり、包装紙を破かないよう包みをそっと剥がして箱を開けた。
そして、中身を取り出して改めて実物を確認する。
真っ黒でサラッとした肌触りのブラジャーとパンティ。
しかしどちらもこれでもかとレースがあしらわれ派手だった。
それで全体的に透けていて布の面積も小さく、色っぽくもあった。
「でも、お金払うって言われたしな…」
このまま何もしないのも気が引けた僕は一応、身に着けることにした。
しかし…
「ない、やっぱりない…」
長めのTシャツの裾を軽く持って、パンティを履いた自分の姿を全身鏡に映した。
少しだけ飛び出す下生え。
性器でいびつに盛り上がる中心部。
上半身をひねって顔を後ろに向ければ、硬く触り心地の悪そうな尻が剥き出しの状態。
その様子はただただ気持ち悪くとても誰かに、ましてや大夜さんに見せられる姿ではなかった。
「…やっぱり、悠馬にお金だけ返してこれはなかったことにしよう」
そう呟きながらパンティを脱いで、着替えようとした時だった。
「秀、来た、よっ…」
気付いた時にはもう遅くて、何の予告もなしに入ってきた大夜さんと鏡の中で目が合った。
予想外の光景にお互い、頭が真っ白になる。
「…撮影で近くまで来たから、ビックリさせようと思って来たんだけど…」
ぽつりぽつりと、大夜さんは困ったような何とも複雑な声音で言葉を紡ぐ。
“そういう趣味があったんだ”
“気持ち悪い”
次に言われるであろうそれらの言葉を想定した僕は、パンティを脱ぐことも忘れて急いで後ろの彼に否定する。
「いや、違います…違いますっ、別にそんな趣味があるわけで、は…」
しかし、現実に見て触れる彼の反応は予想と違っていた。
目線は細かく動いていて、心なしか頬も少し赤かかった。
まるで女子の下着姿を見てしまったように、照れてるような目のやり場に困っている感じだった。
僕と目を合わせると、これまた想定外の言葉を口にした。
「もっとよく見せて」
そう言うと僕が何かを言うより前に、大夜さんはTシャツの裾をめくり上げてパンティをしっかりあらわにした。
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