後輩、坂下くんの最恐の愛
サラリーマンの三城(みき)は後輩、坂下(さかした)に好かれている。もちろん恋愛の意味で。しかし、坂下の愛は酷く重い。そして金曜日の終業後、エントランスで坂下は三城を待ち構えていて…。今夜も後輩、坂下の重い愛に包まれ、三城は拘束されて犯される。
「お疲れさまです。三城先輩」
定時にあがった金曜日。
会社のエントランスに後輩の坂下はそこにいた。
爽やか笑顔が人気の彼は、女性社員の多くが好意を寄せる注目の存在。
顔がいいだけではなく、誰にでも優しくする性格の持ち主。
高身長で細マッチョ。
名門大学を卒業した、エリート出世コース真っ只中。
しかもご両親は会社の理事長。
ヒラの俺とは天と地の差がある。
見つかってしまった…と心の中でため息をつき、平然を装って挨拶をする。
「…お疲れさま、坂下くん」
「今日も俺ん家でいいっすよね?」
「いや、ごめん。今日はちょっと用事が…」
「…そうですか」
「そうなんだよ、ごめんな」
なんて嘘だけど。
いつものバーで、好みの男を見つけて喰いたいだけ。
本音はコイツといたくないだけ。
こいつはノンケのくせに、男の俺が好きで執拗にラブコールをしてくる。
好意を向けられるのは単純に嬉しいが、俺はゲイ。
恋愛的な意味でノンケの坂下を好きにはなれない。
理由はもちろん、ノンケと恋をしたところで報われないからだ。
好意を持たれたのは自業自得っていえば自業自得だが…。
「それじゃあ、またな。おつかれー」
逃げるように足早で彼のもとを通り過ぎる。
でも通り過ぎる一瞬で、坂下はささやくように俺を脅した。
「今夜は注意してね」
「ッ…」
「泥棒が入っちゃうかも」
足を止めて振り向けば、坂下はにっこりと笑った。
最初は意味がわからなかったこの脅しも、今ではもう最恐と言ってもいいほどに恐ろしい。
行きつけのバーで飲み、帰宅をすれば不法侵入者。
監禁拘束まがいなことをされ、メチャクチャに犯される。
恐怖のあまり、衝動的にセキュリティの整った格安のマンションに引っ越した。
値段に似合わない上質な部屋と万全のセキュリティ。会社の上司からの紹介だった。
恐怖で判断力を失っていた俺は、すぐさま契約。
そして、引っ越して隣人の『坂下さん』へとご挨拶。
そこにいたのは、会社の後輩『坂下くん』。
さらに怖かったのは、マンションのオーナーがヤツだったこと。
まんまと罠にかかった俺は、マンションの解約もできずに奴の手の中にいる。
「…用事、なくなった」
「そうですか? 行ってもらってもいいですよ? オトモダチのところに」
「あはは…じゃあ行ってこようかな…」
「はい?」
「…嘘です」
あれ、どっちが先輩だっけ?
なんて弱みを握られたら、年齢も立場も関係ないよな…。
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