新婚初夜は愛欲に満ちて (Page 2)
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僕は、渉がひとり暮らしをしているマンションに引っ越した。
一人で2LDKに住んでいるなんて、すごいなぁと思っていたが、それは僕との結婚を見越してのことだったらしい。
新婚生活といっても、僕と渉は長い付き合いなので、一緒に暮らすことに対する緊張はない。
まあ、結婚が決まってからの渉はやたらと甘い視線を向けてくるので、恥ずかしくはあるけれど…。
「瑠衣、美味いか?」
「うん、渉は相変わらず料理上手だね」
引っ越し作業後の夕食は、渉が作ってくれた。
僕の好きなオムライスに、デザートのプリンまで手作り。
結婚する以前から、渉に胃袋を掴まれている僕だ。
一緒にご飯を食べて、並んでソファーに座ってテレビを観て笑って。
新婚生活、楽しいじゃないか、そう思い始めていた。
けれど、すぐ隣に座る渉と、ふと、目が合った瞬間。
熱っぽい眼差しに見つめられたかと思うと――。
「あっ」
僕は渉に抱きしめられていた。
「瑠衣」
耳元で囁く渉の声は、どこか掠れていて。
「渉…?」
その、何かを堪えているような顔を覗き込んだ瞬間、唇を奪われていた。
「…ん、ふぅっ…」
初めての、キス。
渉の舌が入り込んできて、僕の口内を荒々しく責め立ててくる。
Tシャツの裾から手を差し入れられて、熱を持った指先が僕の上半身を忙しなく伝った。
「はぁっ…」
ようやく顔が離れて、僕は渉の潤んだ瞳を見つめた。
「瑠衣。抱きたい」
切羽詰まったように言われて、僕は息を呑んだ。
20年間、ずっと仲のよい友達だった僕たちが…。
でも。
「…僕、こういうの初めてだから、優しくしてね…」
渉の気持ちを、僕は拒まなかった。
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ベッドに仰向けに寝かされて、優しい手つきで服を脱がされる。
子どものときは一緒にお風呂に入ったこともあったけれど、大人になってから裸を見せるのは初めてだった。
「俺、子どもの頃からずっと、瑠衣のことが好きだった。20年も片思いしてて…。だから、実は俺も初めてなんだ」
渉がひっそりと囁く。
女性にモテるのに、今まで誰とも付き合わなかったのは、そういう理由だったんだ…。
「瑠衣に彼女ができないか、ずっと不安だった」
「僕、恋愛対象に見られないみたいだから、大丈夫だよ」
「それが不思議だよな。こんなに可愛いのに」
渉は僕の頬を愛しそうに撫でてから、自身の服を脱いだ。
着痩せして見えるけれど、実はほどよく筋肉の付いた逞しい身体つきだ。
下着を下ろしたときに、渉のペニスが硬直し立ち上がっているのが見えて、僕は思わず目を逸らした。
「瑠衣…」
一糸まとわぬ姿で、僕らは抱き合った。
直接伝わる渉の体温が心地よくて、知らずため息が漏れる。
再び口付けを交わして、クチュクチュと舌を絡めた。
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