好奇心から始まった関係 (Page 4)

「なに、乱暴にされたのに欲情したわけ？」

しっかりした毛先に指の付け根を撫でられながら根元を掴み、薄い皮膚を上下に擦る。

「うっ…はっ…」

「けっこう楽しんでるじゃん、アンタも存外」

遠回しに変態だと罵ると、塊は熱と硬さを含んで掌の中で姿を変えてきた。

「乱暴されても、嫌いなオレに触られてもこんな欲情して」

「そうじゃない…！」

「何が違うんだよ、この節操なし」

「だから違う」

「何も違わねえだろ…！」

重なる否定にイラ立ちが限界に達したオレは熱塊を解放して、楠雄の最後の砦（とりで）を太ももまで下ろし尻肉に先端を押し当てる。

いつの間にか完全に包皮を破るまでに膨張して硬くなった肉を、割れ目の奥へ侵入させて入り口を目指すのは容易だった。

今日までの濃密な時間やオレの形をしっかり記憶しているのか。

「はぁっ…」

そこは別の生き物のように体温を持ちながら収縮を繰り返し、異物を受け入れる準備を始めていた。

「ここも、こんな反応させて」

小刻みな動きに任せて、そのまま下腹部を進める。

「いあっ…っ」

楠雄の背中が丸くなって全身や結合部も強張ったが、構わず肉を押し進めた。

「…亮稀っ」

「もう気安く名前呼ぶな！」

「いっ、あっ」

「散々、人に好奇心を持たせて…飽きたら、自分は勝手に好きな男、作って、そっちに行きたいとか」

「僕が好きなのは、体を許すのも欲情するのも、お前だけだ亮稀！」

「えっ…」

（今、オレが好きって言った…？）

怒号にも似た声調での訴えに一瞬、何もかもが真っ白になった。

「…マジで？」

「僕は嘘は言わない」

そう言って顔だけこっちを向ける楠雄の目は涙が浮かんでいるが、真っ直ぐだった。

何だろう、何か、何か…

「めちゃめちゃ嬉しいんだけど…」

オレ、自分で考えてるよりめっちゃ好きじゃん、楠雄のこと。

「大体、僕はお前との関係を終わらせたいと言ったわけじゃない。ただ、”セックスするだけの関係”を終わらせたいと言ったんだ」

楠雄のその言葉を聞いて、ふと我に返りながら振り返った。

…オレとの関係を終わらせたい、とは確かに言ってない。

「！」

その言葉を思い出した瞬間、恥ずかしさやら申し訳なさやらで全身や顔面の体温が上がっていくのを感じた。

どうしよう…

そうとも知らずハードにやってしまった。

変態とか節操なしとか言っちゃった。

「えっ、あっ、いやっ…」

こめかみからダラダラと冷汗が流れる。

「…とりあえず、続きを、シてくれ」

「あっ、はぁ…」

「聞こえなかったか、このまま続きをシろ」

「は、はいっ…」

色気のないやり取りの後、拘束している手を解放してから腰の動きを再開させる。

「はぁっ…ぁっ」

張り詰めた空気が解けると楠雄の強張りもなくなったが、潤滑剤の助けも慣らしも施してないそこは当然、柔軟性と滑りに欠けていた。