好奇心から始まった関係 (Page 5)
「せめて、もっと慣らさないと…」
「大丈夫、このまま、続けてくれ」
時折滴るカウパーを塗り付けながら鈴口で入り口付近を擦りつつ、楠雄の言葉に従った。
柔軟性と熱と滑りを与え続けた後、僅かに筋肉が弛緩したのを感じ取り肉を奥へ押し進めた。
「あっ…はぁっ」
熱い肉を擦りながら奥へ侵入するほど、苦痛しかなかった楠雄の声に色めき始める。
温かすぎる楠雄のぬくもりが、緩く仰け反ったりすると気紛れに締め付けてくる肉壁が、快楽を呼び戻した。
だが呼び戻されたそれは消えてなかった余韻、気持ちが通じ合ったという嬉しさもあってか、1度目よりも濃厚になっていた。
そんなに我慢できそうになかった。
「楠雄っ…ゴメンっ」
「はっ…ひぁっ、あっ」
最高潮に達する時間の短さをおぼろげながらも悟ったオレは、楠雄に謝ってから最奥に着く前に突き上げを始めた。
突き上げる衝撃に任せて、絡む肉路を拡張させながら奥へ奥へと進んでいく。
「あっ、はっ、あぁっ」
鈍い金属音や2人分の足音に混じって、律動に呼応した楠雄の喘ぎが耳と一緒に股間も刺激する。
「亮稀っ、改めてっ、言いたいっ…あっ」
「なに、を…?」
「僕はっ…お前が、好きだっ…正式にっ、付き合って、ほしい…はあっ!」
情欲に溺れながらの熱烈な告白に、オレの中の何かがプツッと音を立てて切れた。
津波のように一気に押し寄せてきた大きな官能が、律動に速さと力強さを与える。
「今、この状況で、それ言うの、反則だしっ…!」
鋭く奥を突き上げるほど、女性器のように内壁がみっちりと絡んで精を絞り取ろうとした。
クライマックスまでの時間がまた短くなる。
「付き合おうっ…それで、もっと、教えて、楠雄の、こと」
告白に答えた後、残っている力を出し切るように下腹部を動かし、同じリズムと力を維持して最奥へ衝撃を与え続けた。
「亮稀っ…ありがとう」
その言葉の語尾が発せられた直後、楠雄の唇がオレの呼吸を優しく塞いだ。
まるで手入れしたような柔らかさと潤い、男らしくない厚さのそれはオレを一気に頂点へ導いた。
淫靡な解放感に、1人うっとりと酔った。
初めてだった、誰かの中に射精するのがこんなに気持ちいいと感じたのは、満たされたと感じたのは…。
*****
「…本当にゴメンなさい」
怒られた子供のようにシュンとしながら、親指の指紋を赤いペンで塗りつぶす。
そして、達筆な字で書かれた文の下に書いた自分のフルネームのすぐ隣へ、乾燥する前に指を押し付けた。
「これに書いた条件を満たしたら、今回の件は水に流してやろう」
オレの真っ赤な指紋が入って完成したその紙を手に取る、楠雄の表情は満悦だった。
“1か月間、性行為を禁ずる”
相当怒らせてしまった…単純明快だがオレにとって生き地獄な条件がそれを物語っていた。
「イラマチオ、ごっくん、言葉責め…これらが条件1つでチャラになるなら軽いだろう?」
「…軽いです」
「物わかりがよくて助かるよ」
満面の笑みを浮かべて紙を2つに負って封筒に入れてからカバンに入れると、そのまま立ち上がり背中を向けた。
「ほら、もう帰るぞ。明日も学校だし出勤だろう?」
「あっ、うん」
(まあ、いいか…もう)
心身が満たされたまま、小さくも包容力がある後ろ姿にオレは付いていった。
Fin.
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