お人形さんは快感中毒
サークル仲間とのカードゲーム対決で負けた羽鳥純は、罰ゲームで女装することに。文句なしの美少女に変貌した純。夜の繁華街に出掛けたところ、爽やかイケメンの清水陸にナンパされる。陸は純に一目惚れした様子。からかってやろうとホテルに付いて行った純だが…。
一枚のカードが、僕、羽鳥純の人生を変えた。
「はーい、羽鳥君の負けー!罰ゲームね」
大学のサークル仲間との宅飲みでのこと。
カードゲーム対決で負けた僕は、嫌々ながらも罰ゲームを受けることになった。
その内容は――。
「羽鳥、女装似合いそうだな」
「本当に。腕が鳴るよー!」
女友達の手によって、モテる女の子に変身させられる、という屈辱的なものだった。
*****
大きな瞳を縁取る長いまつ毛。
白い頬を彩るピンクのチーク。
赤いグロスで艶めく小さな唇。
ブラウンのストレートロングのウィッグ。
そして、レースがあしらわれた花柄ワンピース。
「おおぉぉーー!!」
仲間たちがどよめく。
女友達が張り切った結果、僕は文句なしの美少女に変貌してしまった。
「ヤバい、可愛過ぎ!写真撮っていい?」
大興奮でスマホを向ける女友達に、辟易(へきえき)してしまう。
「いや~…僕、気持ち悪いよね?」
男友達に感想を求めたところ、彼は、うっ、と声を詰まらせた。
「俺、今の羽鳥なら抱ける…」
「マジなトーンで言うのやめて」
ドン引きしていると、女友達がイタズラっぽく瞳を輝かせた。
「ふふっ、私、いいこと思い付いちゃった」
何だろう、嫌な予感。
*****
夜の繁華街は、若者の活気に満ち溢れていた。
「僕を知ってる人に会ったら、どうしよう…」
「大丈夫。誰も羽鳥君だって、わからないから」
僕は悪ノリした女友達と共に、街で遊ぶ羽目になった。
二人でカフェバーに入り、普段飲まないカクテルを飲まされていると。
「ここ空いてる?座ってもいい?」
なんと、ナンパの声が掛かった。
「いいよ~!」
上機嫌の友達の隣で、ナンパ男二名を見据える。
「俺、清水陸ね。陸って呼んで。君は?」
僕の真向かいに座った男が、明るく自己紹介をした。
年齢は20歳の僕と同じくらいだろう。
爽やかな茶髪にイマドキのカジュアルコーデ。
顔立ちが整っていて、いかにもモテそうだ。
「この子は羽鳥純ちゃんだよー!」
友達が勝手に僕のフルネームを教える。
「純ちゃんか。君、お人形さんみたいに可愛いね。これはお世辞じゃないよ」
いきなり見た目を褒められて、僕は苦笑する。
どうやら、女だと思われているようだ。
ちょっと面白いので、本当は男だとバラさないでおこう。
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