8個下のかわいい従兄弟に愛されていました
30歳になったタツキには婚約者がいる。結婚の報告に叔父の家を訪れたタツキを出迎えてくれたのは8個下の従兄弟のユウセイだった。昔からよく懐いてくれていたユウセイはタツキにとって弟のように可愛い存在だった。ユウセイの家で眠ってしまったタツキが目覚めると裸で両手足を拘束されていて…!?
「タツにいちゃん!」
幼少の頃から変わらないその呼称と笑顔で出迎えてくれたユウセイの姿に、タツキは嬉しそうに笑った。
「久しぶりだなぁ。ユウセイ。すげーデカくなってるからビックリしたよ」
リビングに通されて、ソファに腰掛けながらユウセイはしみじみ言った。
ハハッとキッチンに向かったユウセイが笑う。
「もう大学4年だからね。僕もビックリした。タツにいちゃんってこんなに小さかったっけ?って」
「お前が成長しすぎなんだよ!最後に会ったのって確か…じいちゃんの7回忌のときだよな?7年前?」
カチャカチャと食器を出す音がキッチンのほうから聞こえてくる。
「うん。僕まだ中学生だったもん。タツにいちゃん、あの頃ぐらいから全然正月とかも来なくなったよね」
「実家出て1人暮らしになったからな。正月も帰省してなかったし」
「…で。そんなタツにいちゃんがなんで急に従兄弟の家に来たの?まさか結婚の挨拶とか?」
「あ…先に言われちゃった。うん、そう。結婚が決まって、叔父さんにも結婚式来てもらいたくて。あ!もちろん従兄弟のユウセイにもね」
コーヒーの香りがゆらゆらとリビングに漂ってきていた。
「…へえ。タツにいちゃん、結婚するの」
「うん。もう30だしね。そろそろ身を固めようかと」
お盆にコーヒーカップを乗せたユウセイがリビングに入ってきて、タツキの前にカップを1つ置いた。もう1つのカップは自分の手に持ち、待ちきれないように1口飲んでから、ユウセイはニコリと笑った。
「タツにいちゃん明日仕事休み?」
「うん。叔父さん達は…出かけてるんだよね?来る前に連絡すればよかったね、ごめん」
「父さん達は買物行ってるだけだから、夕方には帰って来ると思うし、タツにいちゃん明日休みならうちで夕飯食べていきなよ。久々に会えたんだし僕もタツにいちゃんといっぱい話したい」
自分よりも背丈が大きくなっているユウセイが、それでも幼い頃と変わらず慕ってくる姿が可愛らしいとタツキは思った。
ユウセイはタツキの父の弟の子で、タツキが8歳の頃に生まれた。3つ上の姉がいるタツキは弟が欲しかった。そして、1人っ子のユウセイはタツキによく懐いた。お盆に正月、祭りなどのイベントで親戚が集まるときは、いつもタツキとユウセイは2人で遊んでいた。
最後に会った7年前、もう中学生になっていたユウセイはそれでも、タツキに懐いてピッタリとくっついていた。
そんなユウセイが、タツキは可愛くてしかたがなかったのだ。
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