小さな劣情
竹彦と義兄弟になって3日目の夜。竹彦が下半身を露わにして俺を訪ねてきた。「腫れている」と言い、ソレをどう処理したらいいかわからないらしい。俺は竹彦に抜き方を教えることにしたが、俺は竹彦に対して劣情を抱き始めてしまった。
わからないことがあったら何でも聞けとは言ったが、まさかピョコンと勃起した陰茎(いんけい)を出しながら「どうすればいい」なんて、そんなこと聞かれるとは思わなかった。
「なあ、にいちゃん。俺のちんちん腫れてんじゃが、どうしたらええ」
恥じる様子もなくそう聞く竹彦。だがそれも無理はない。竹彦には生まれたころから父親は居らず、母親と二人で暮らしていた。それも、人のいない山奥で。
俗世に染まることなく成長したとはいえ、男の生理反応は起こるものだ。
しかし竹彦ももう齢は20だと言っていた。見た目こそ童子のようだが、結婚もできるし、女の一人や二人と経験していてもいいくらいだというのに。
だがそれは山奥育ちというのが関係しているのだろう。それにまさか母に手を出すわけにはいかんだろうし。
「いいか、竹彦。男はな、それを使って子どもを作るんだ。子づくりしたいと思うと、そこが腫れるんだよ」
「でも俺、子どもつくりたいなんか思っとらん……」
「思ってなくても腫れるときは腫れるんだよ。そういうときは自分でそれを抜くんだ。手ェ使ってな」
竹彦は自分の手のひらを見つめた。
「う……」
なんとなく予想はしていたが、竹彦はそのまま手のひらを股間の屹立(きつりつ)に被せた。
俺の前でやるなよとも思うが、何も知らないのだからしょうがないと思うことにしておく。
なんだか居たたまれなくなってきたので、行燈の火を消した。障子越しに満月の光が童子の肌をつややかに照らした。
「にいちゃん……ようわからん……ヘンな感じする……」
「そのヘンな感じでいいんだ。もうちっと強く握ってみろ」
まさか義兄弟として暮らし始めて三日でこれとは、先が思いやられる。
きっと俺はそのうち、竹彦を抱くのではないか。そう思うくらい、竹彦から色気が放たれていた。
今ですらこのまま布団に寝ころばして、その柔い肌に触れたい欲望がふつふつと湧いてきている。
俺だってまだ女と寝たことはないが、きっと竹彦の体は女にも負けないくらいにイイモノだろう。
男色の趣味はなかったはずだが、ピョッコリと天井に向くソレを愛おしく思うなんて、俺はどうかしているのかもしれないな。
「うぅ……」
うめくような声。
いまの竹彦の撫でかたじゃ果てることはできないだろう。本当にただ撫でているだけだから。
もっと気持ちいいところを擦ればいいのに。
快感をまだ知らない幼子同然のこいつにはわからないことなのだろう。
だから俺は期待している。竹彦が俺を求めてくることを。
「なあ、竹彦。それ、気持ちいいか?」
「よく、ない。ムズムズするだけじゃ」
「もどかしくないか?」
「もどかしい……」
しぼんでいく言葉尻。潤んだ真っ黒の瞳も戸惑いに揺れている。
もどかしいのは俺の方だ。
竹彦の肌に触れたい。きっと俺の手よりも熱いんだろう。キメの細かい肌をして、しっとりと潤いがあって。
俺の意のままに善がり(よがり)、腰を女のようにくねらし、女も知らない男根が震え精を吐いたら……。
それを想像しただけで寝巻を押し上げる下半身の熱が高まった。
「なあ、にいちゃん、触ってや」
ああ、俺はこの言葉を待っていた。
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