メンズヨガインストラクターの甘美な誘惑
細身で小柄な体型がコンプレックスの会社員・村井亮は、筋肉を付けるべくヨガのプライベートレッスンを受けることに。インストラクターの沢博人はスタイル抜群で、村井の理想像だった。沢の手に触れられて、心地よさを感じる村井。レッスン後、沢は熱を帯びた瞳で村井を見つめてきて――。
男の姿を一目見て、村井亮は思わず感嘆のため息を漏らした。
タンクトップとハーフパンツから伸びた、すらりと長い手足。
全身に適度な筋肉が付いていて、しなやかなその体躯(たいく)はバレエダンサーのようだ。
「本日の体験レッスンを担当します、沢博人です。よろしくお願いします」
爽やかな笑顔で挨拶するヨガインストラクターは、村井が目指す理想の男性像そのものだった。
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細身で小柄な体型がコンプレックスの村井は、仕事終わりにヨガの体験レッスンを受けに行くことにした。
筋肉を付けて男らしい見た目になりたい気持ちがあったが、あいにく運動は苦手でランニングも続かない。
スポーツジムに通ってのトレーニングも非力な自分には続けられそうになく、悩んでいたところヨガを勧められた。
「無理せずゆったりとしたペースでできますし、姿勢がよくなって肩こりにも効くんですよ!」
後輩の女子社員から熱心な説明を受け、経理事務でデスクワークの自分には向いているかもしれないな、と思った。
早速、その後輩が通うヨガスタジオを紹介してもらい、初めてのヨガに挑戦することになったのだった。
「わからないことがあったら、何でも聞いてくださいね」
優しく声をかけてくれる沢と、二人きりでのプライベートレッスンが始まった。
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「ここで背筋をまっすぐ伸ばして、身体を横に倒して…」
向かい合って座る沢の動きを真似して、村井は片手を上げながら上半身を横に倒した。
沢のスタイルは抜群で、つい見惚れてしまう。
一方で、鏡張りの壁に映る自分の身体は貧相に見えて、コンプレックスが刺激されてしまうのだった。
沢は立ち上がると、村井の傍らに跪いて囁いた。
「息を吸って…」
その声は低くて柔らかく、村井の体内にじんわりと響く。
「…っ」
「ゆっくりと吐いて…あれ、どうしました?」
「いえ、何でもないです…」
声に身体が反応してしまったのが恥ずかしくて、村井はうつむいた。
「触りますね」
沢の腕が伸びてきて、村井の曲げた腰に触れる。
大きくて温かい手でウエストの部分を押されると、さっきよりも身体が伸びた。
もう片方の手が、村井の伸ばした腕を掴む。
「胸をもう少し開いて…そうです」
沢の手のひら越しに伝わる体温が心地よくて、村井はうっとりと目を細めた。
「…沢先生の手、気持ちいいです」
思わず、そんな言葉が出てしまった。
「えっ、俺の手ですか?」
不思議そうに自分を見つめる沢に、村井は恥ずかしい思いで続けた。
「すみません、変なこと言って。こうして触れられていると、温かくて、安心します」
「…そうですか。そんなこと言われたの、初めてです」
沢は頬をわずかに赤く染めると、照れたように笑った。
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