図書室の君

・作

佐々木が同窓会で再会したのは、初恋の七瀬。話をしている間に、このまま二人で抜けようと誘われて、気づいたときにはなぜか彼に抱かれていた。頭ではこんな事はダメだと思っているのに、身体はすっかり感じてしまっていて抗えないまま…

僕が高校生の時に初めて好きになったのは、とても知的な雰囲気の、男だった。

「七瀬」と書かれた名札をつけている彼を初めて見かけたのは、放課後の図書室。

サラサラの黒髪と、銀色の細いフレームの眼鏡に白い肌が、ずいぶん綺麗な顔立ちの男だな、と印象的だった。

何度か見かけたある日、風に白いレースのカーテンがなびく中で、本のページをめくる指先が綺麗で、目が離せなくなった。

好きなんだと気づいたのは、本を読んでいる時にふと微笑む顔が、かわいいと思ったときだった。

それからというもの、僕は本なんか全然好きじゃないのに、図書室に通うようになった。

三年の時に同じクラスになったけれど、僕は結局、七瀬君に話しかける勇気もなく、クラスメイトという薄い繋がりを持つに留まって、卒業を迎えてしまった。

その彼と、卒業以来の同窓会でばったり再会した。

しかも、隣の席に座っている。

「…七瀬君がこういう場に来るって少し驚きだった」

十年経って、彼…、七瀬君の横顔はただ綺麗なだけではなく、男の色気の様なものを纏っていた。

「そうかな?ええと…、佐々木君だっけ?」

柔らかくて耳障りの良い、けれど昔より少し低くなった声で呼ばれて、僕はドキドキしてたまらない。

「うん。あの、僕さ、実はずっと七瀬君と話してみたかったんだ」

「そうだったの?」

七瀬君が、首を傾げる。

「図書館でよく見かけててさ。僕の好きな作家の本とか、読んでるの見かけて…でもなんか…話すチャンスがなかったから…」

何年か越しの片思いを告げているような気がして、恥ずかしくて顔が熱くなった。

「へぇ。ねえ、佐々木君…、顔赤いよ?」

七瀬君にいたずらっぽく微笑まれて、更に顔が赤くなった気がした。

「えっ、あ、それは…っ」

「ねえ、よかったらさ…、もうちょっとしたら二人で抜けちゃわない?」

口許に笑みを浮かべた七瀬君の表情が、僕の目に焼き付いた。

「えっ…?僕は良いけど…、七瀬君は良いの?」

「もちろん。せっかくだから、ゆっくり話したいし」

そんな約束を交わしはしたけれど、七瀬君は友達が多くて、いろんな人に話しかけられていた。

もうほとんど、終わり間際になった頃、僕たちは同窓会の会場から抜けた。

別の店で、二人で流行の作家について話しながら、お酒を飲んだ。

そうしてとても楽しい時間を過ごしていたのに、それが、どうしてこうなったのか。

公開日:

感想・レビュー

レビューはまだありません。最初のレビューを書いてみませんか?

レビューを書く

人気のタグ

ハッピーエンド 甘々 エロい エロエロ 無理矢理 胸キュン ゲイ ほのぼの 年の差 ちょいエロ ノンケ 切ない 同級生 リーマン 年下攻め 誘い受け 職業もの 健気受け シリアス 調教 ドS スーツ エロすぎ注意 絶倫 玩具 メスイキ 鬼畜 社会人 ダーク 幼馴染み

すべてのタグを見る

月間ランキング

  1. 先生!治療が気持ちよすぎます!

    ひとえ3416Views

  2. おにいちゃんの射精管理

    アンノアンズ2476Views

  3. 妾忍びガンギマリ輪姦~寝取られ忍者は主君の愛玩具~

    雷音1694Views

  4. Men’s壁尻~幼馴染みと壁尻稼ぎで孕み堕ち~

    雷音1641Views

  5. 傲慢調教師~逆調教メス堕チ~

    雷音1627Views

  6. 秘書の仕事は性接待

    梅雨紫984Views

  7. 激愛吸引恥辱~ノンケ大学生とタチ役ウリ専配達員の隠れ遊戯~

    雷音926Views

  8. 雄ふたなりエルフ~奥手な若長オークにHの指南しちゃいました~

    雷音746Views

  9. わからせたい!~玩具で翻弄されて~

    ゆんのん710Views

  10. ストーカーの僕

    クロワッサン695Views

最近のコメント