もっと近くにいよう (Page 4)
「あっ、あぁ…、は、る、…やっ」
拓自身の先走りで手が濡れているのがわかった。
「や、だ…、もっと…」
拓が腰を揺らして、自身の下半身を俺の左ももに押し付けてくる。
「もっと? これじゃ足りない?」
俺は小さく尖った胸の粒を吸い、軽く歯を立てた。
拓は高い声を上げる。体がびくびくと震えていた。
肌理(きめ)の細かい白い肌はうっすらと赤味を帯び、汗でしっとりと濡れている。
拓の裸は見慣れているつもりだったが、こんなに近くで見て、感じることはしばらくなかった。
細身に似合ったしなやかな筋肉。薄い肌は俺の愛撫(あいぶ)を敏感に感じ取り、拓は快楽の波に浸っている。目じりに小さな水の粒があふれたかと思うと、きれいな筋を頬に残した。
涙を拭(ぬぐ)おうとして…、手を止める。きれいな拓をこのまま見ていたい。
「気持ちいい?」
「ふ…う、…」
拓は頭を振り、俺の首にしがみついてきた。
初めての拓にはちょっと刺激が強かっただろうか…。もうそろそろ、ころ合いかもしれない。
俺は滴をこぼし続けている拓のモノを握り込み、上下に大きく手を動かした。拓の呼吸が荒くなる。こぼれた声は嬌声(きょうせい)へと変わる。
「はる…、は、る…ちゃん…。あっ、…」
何度も名前を呼ばれ、俺も拓の名前を呼び返す。とろとろになった拓自身はあっという間に絶頂を迎えた。
ふにゃりとしなだれかかってくる拓を抱きとめる。荒い息が肩にかかり、歯が当たった。
目を閉じた拓の長いまつ毛が震えている。
「拓…」
低く呼びかけるも返事はない。荒かった息が、すうすうと穏やかなものに変わる。湿った髪に指を滑り込ませた。
小さな甥っ子、ただそれだけの存在だったのに、15年前の夏、守らなくちゃいけない甥っ子になった。
そして、今また、俺の中で拓の存在の意味が変わる。
失いたくない、大切な人。
拓がいなくなってしまったら、俺はきっと泣く。あのときの拓のように。
「…愛してる」
拓の耳元でささやく。
拓は、ふ、と小さく息を吐いて、俺のシャツのすそを握った。
…姉さん、ごめん。
そう思いながら目を閉じる。
拓の熱い息が、体温が俺の心を揺らした。
もっと、近くで、拓を感じていたい、と。
Fin.
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