今時の淫魔の事情 (Page 6)
「くっそー、こんなはずじゃ…」
「でも、美味いだろ?俺の飯も俺自身もさ?」
無言でライトは目の前の料理をかき込み続けた。
「お前…ライトさ、そんなわけでしばらく俺をここに置いてくんない?家賃も払うし」
「はぁっ?!どんなわけだよ?」
「お前のせいで、俺はもうすぐ宿なしになる。俺の飯は美味い。ついでに俺も美味い。体の相性もいい。俺といれば心も体も飢えることないよ?」
「はっ、そんなんいいわけな…」
と言いかけて、ライトは気が変わった。ひとまず家にいることになれば、いくらでも仕返しのチャンスがあるはずだ。幸い部屋はあまっている。以前もルームシェアをしていたので、一つ屋根の下に他人と暮らすこと自体に抵抗はない。
「そうだな、いいぜ?家賃も持ち家だからいらない。そのかわり朝晩の飯を用意してよ」
「まじていいの?んじゃ、今日のうちに荷物移動させていい?」
ジンは嬉しそうにして立ち上がると、鼻歌を歌いながら済んだ食器を片付け始めた。
――ふふふ、見てろよ!今度こそ淫魔特製媚薬を味合わせてやる!!
ライトその後ろ姿を眺めながらほくそ笑むのだった。
こうして人狼と淫魔の奇妙な共同体生活がはじまった。現時点では、ライトの企みが成功したことは、未だないということだ。
Fin.
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