不機嫌な君と (Page 2)

セラとは同じ学院で、グループは違うが、座学が苦手なためか、なぜかよく頼られた。魔力譲渡を手伝うと言ってくれたが、中央で引く手あまたの彼にやんわりと断った記憶がある。

二度と会うことはないと思っていたが、2年ぶりに再会した。ようやく中央から離れる時間も作れるようになったという。
本当はすぐにでも田舎で魔術師として働きたいらしく、意外だと思いつつ、魔術師が少ないから歓迎すると返したら、いつの間にか魔力譲渡をお願いすることになっていた。
今回も、セラの予定があえば頼むつもりではいたのだ。

考え事をしていると、突然視界が回った。
覆いかぶさるセラと、肩越しに見える白い天井。

「っ…何を」

勢い文句を言おうとして、絶句した。
セラの目から涙が滴って、頬を滑り落ちる。ただ茫然(ぼうぜん)と瞬きもせずに見つめれば、彼は悔しそうに表情をゆがめる。

「…クソ鈍感野郎」

唇が彼のそれに塞がれた。久しぶりの感触に、そっと目を閉じる。セラとの譲渡は、いつもキスだった。じわりと温かい何かがにじむ。何度味わっても気持ちがいい。

「ん、…ふぁ」

唇の隙間から熱い舌が侵入して、口内をじっくりと舐める。おずおずと舌先を触れあわせると、じんと熱――魔力が伝わってくる。薄く目を開けると、藍色の瞳と視線がかちあった。
もう涙は止まったようだが、目じりが赤く、どこか痛々しい。

「…なんでそんな余裕なわけ」

余裕ではない。大混乱中だ。

ムッと唇を尖らせた顔を見つめる。一度魔力譲渡が始まると、一定量に達するまで私の体は熱を求めて反応する。
するりとセラの腰に脚を滑らせた。互いのものはすでに立ちあがって、存在を主張している。押し付けるように腰を動かした。

「っ…! おまえっ、ほんと、最悪っ!」

生理的な反応だから仕方がないのに、セラはいつもそう悪態をついていた。入れてもいいと言ったが、頑なに下肢には触れようとしなかった。

「っ…ん」

するり、と太ももに硬い手が触れて、そのまま中心に滑る。腰元のタオルはすでにソファの下に落ちていた。立ちあがった私のものが、セラの手の中へ消える。

「んっ、あっ、んん」

はじけるような快感と、扱く指先から魔力が伝わって、じんじんと熱い。私の腰が跳ねて、ソファがぎしっと軋(きし)んだ。

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