不機嫌な君と (Page 3)
ぬるぬると先走りで擦られて、下肢からびくびくと刺激がひっきりなしに伝い走る。
「あっ、あぁ、っん、あっ、ひぁっ」
よく沈み、包み込まれる感触が売りのソファ。
快感に恥ずかしいほど跳ねて、嬌声が迸(ほとばし)る。
「トール、気持ちいいのか?」
「気持ち、いいっ…んっ、あん」
つん、と指で先をはじかれ、高く鳴いた。
「こんな善がって、誰にでも、聞かせたのかよ…」
ごにょごにょとうめくように言って、セラは扱く手を速める。
「そんなわ、け…。んっ、ちょ、まっ」
自分で後ろを広げて、相手は放出寸前までに立たせて、作業のように挿入するだけの行為だ。一度の射精で魔力は十分足りるから、他人に扱かれたことなどない。
訂正したかったが、セラの責めは激しさを増し、喘ぐばかりだ。
「くそっ、こんなことなら…」
「んっ、あっ、あっ、あああっ!」
脳を焼かれそうな快感。
ソファに沈み込んだ私の体に、セラの影がかかる。中心から後ろの窄(すぼ)まりへと硬い指先が撫でるように下りて、指先が潜り込んだ。相手の竿を入れるため、香油も仕込んでいたせいで、ぬぷりと長い指を迎え入れた。
「っ、ここ、なんだよ、もうこんなに…」
悔し気な言葉とは裏腹に、埋められた指はくりくりと好奇心旺盛に動き回る。気持ちよい場所をかすめ、私の体が再び跳ねた。
「ひぁっ」
指の数が増えていく。指先から魔力が伝わってくる。
私のいいところをつかんだのか、何度もその場所をノックして、ときおり引っかくように刺激する。
「やっ、そこ、ぁ、だめっ…だめ、だめ…ぁんっ」
顔を覆いたくなる淫らな声に、じわりと視界がにじんだ。
――気持ちよすぎる。
「はっ、なんつー声だよ…」
途方に暮れた子どものような、自嘲のにじむ声がぽつりと落ちた。ぎょっとして見やると、苦り切った表情を浮かべるセラがいた。襲われている私なのに、その不本意そうな顔は一体どういうわけか。はなはだ遺憾である。
――いや、まて。
「…まさか、誰かに弱みを握られて…?」
「はぁ?」
怪訝(けげん)そうにこちらを向いたせいで、中を弄る指が静止する。
「君がたいへん不本意そうだから、もしやと推察したのだが」
「…」
絶句する要素がどこにあったのだろうか。
セラはしばし沈黙し、盛大なため息をついた。
「おまえってホントさぁ…。ホント、最悪」
“最悪”な男の尻を弄る理由を知りたいだけなのだが、聞き方が悪かったようだ。
「君にこのような行為をさせるなど、なんと卑劣な。大地の魔術師たる私の全力をもって」
「おまえのそういうとこ、ホント嫌い」
お節介だとたまに言われるが、これほどシリアスなトーンで指摘されたのは初めてで驚いた。目を瞬かせていると、セラはついと視線を背けた。
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