それは快楽の色彩 (Page 4)
斗真君はベッドサイドのテーブルからスマホを手に取ると、何やら操作した。
「俺はずっと、君を見ていたよ」
そう言って、スマホの画面を見せる。
そこに表示されていたのは、僕の隠し撮り写真だった。
大学での僕だけでなく、家を出るところや、バイト先の居酒屋での写真もあった。
「…!」
驚いて声を出せないでいると、斗真君は眉をひそめて低い声で言った。
「最近の君は、よくないことをしているから、心配していたんだ」
スマホの画面に映し出された写真。
「あっ…!」
それは、僕がスーツ姿の若い男性とレストランで食事をしている写真だった。
バイト先で口説かれて、たまに会っている男性だった。
この人は僕をチヤホヤしてくれて、お金もくれる。
自分が価値ある存在になったような気がして、会うのをやめられなかった。
今は一緒に食事するだけの仲だけど、そろそろ身体を許さなきゃいけないのかと思っていた。
「その写真、消して…!」
僕が懇願すると、斗真君はゆっくりと頷いた。
「いいよ。俺も見てて嫌な気持ちになるしね。樹君、もう自分を安売りするのはやめなよ。君は俺にとって、『特別な存在』なんだ」
隠し撮りされて、襲われて。
斗真君は、かなり危険な人だ。
それなのに。
「…本当に…?」
彼に「特別な存在」だと言われて、泣きそうになっている自分がいる。
「もちろん。こうして二人が出会えたのは運命だよ。俺が君のすべてを愛してあげる」
その言葉に、僕の心は揺さぶられた。
「…僕のこと、いっぱい愛してほしい…」
つい本音を漏らすと、斗真君は微笑んで僕を抱き締めた。
「樹君、ずっと愛に飢えていたんだね。もう大丈夫だよ。俺が傍にいるから」
「うん…」
もう僕は、抵抗しなかった。
自分より大きな背中を抱き締め返すと、うっとりと息を吐く音が聞こえた。
「嬉しいよ、樹君」
斗真君は体を離すと、眼鏡を外してサイドテーブルに置いた。
直接見る斗真君の眼差しは熱くて、真っすぐに僕を射貫く。
斗真君が服を脱ぐと、意外とがっしりした肉体が姿を現した。
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