平凡リーマンはワンコ系年下彼氏に溺愛されています (Page 3)

ともすれば、すっかり敏感になった浩太の体はこのキスだけで、頭の奥がちかちかと弾けるような熱い昂りを感じてしまっていた。

「ん、っ…ぅ、む…つばさぁ…」

「浩太さん、好きです。大好き」

角度を変えながら何度も唇を重ね舌を絡ませるする合間に、翼は甘ったるい声で浩太の名前を繰り返し呼び、愛を囁く。

塞がれた唇では限界を訴えることもできず、やがて耐えきれなくなった快楽に浩太の腰はかくんと大きく震え、そして本当にキスだけで果ててしまった。

「浩太さん、キスでイったんですか? かわいい」

初めての達し方をしぼうっとする浩太に耳元で翼が嬉々として言った。

「本当、誰にも見えないところに隠しちゃいたいくらいかわいい」

ふいに翼は浩太の頬を両手で包むと、鼻先を擦り合わせた。

「ねぇ、浩太さん。浩太さんは一生俺のものだし、俺も一生あなたのものだよ」

翼はアーモンド色の瞳をそっと細めて言う。

「さっきもだけれど。俺が誘いをかけたり養われて欲しいと願うと、あなたは時々どこか遠くを見て不安そうな顔をしますよね」

思わぬ指摘に、浩太はどきりとした。

そんな浩太に翼はいっそう慈しむように笑みを深めて続けた。

「そのたびに、もっと俺の愛を知って欲しくなる。そんな顔をする必要がないって。俺との関係であなたが不安がることなんてなにひとつないんだって」

「翼」

「ねぇ、浩太さん」

頬に触れていた翼の手がするりと浩太の首まで降りてくる。

なめらかな弧を描く浩太ののどぼねをそっと撫でながら、翼は糖蜜よりも甘い声で囁いた。

「俺、死んでも浩太さんと一緒にいますからね」

昨今フィクションでも聞かないような、途方もない言葉だった。

しかしそれを紡いだ翼の声音には、本当にそうなる未来を見てきたかのような、ともすればなにがなんでも叶えて見せそうな深い重みがあった。

浩太はそれにぞっとすると同時に、えもいわれぬ興奮を覚えた。

世界に愛されている男が、自分だけに、これほどの愛を傾けてくれている。

「…神に誓えるか?」

「ええ、もちろん」

躊躇いなく答えた翼が浩太の手を取る。

そしてその指先に、まるで教会で執り行う神聖な儀式のようにゆっくり、そっと、唇を重ねた。

「神に、そしてなにより、あなたに誓います、浩太さん」

そこに浮かんだうっそりとした微笑みは、極楽から召された天使のようでも地獄へ誘う悪魔のようにも見えた。

Fin.

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